洞窟の守り手

戦術遭遇は、厳しい戦略的なD&Dの戦闘に加えて、君が大好きなD&Dアドベンチャーに期待するようなロールプレイやストーリーテリングの機会を提供する遭遇シリーズだ。

この遭遇において、キャラクターたちは丘の小さな洞窟に到着する。

洞窟を根城にする略奪者たちは、地元の村々を襲撃し、この土地の人々にひどい貧困と死をもたらした。

とある冒険者たちが略奪者の足跡を追って山腹の隠れ家に向かった。武器を持って洞窟に入り、呪文の準備も万端だった。だが、略奪者を打ちのめすために怪物の巣に向かった彼らは戻ってこなかった。

つい昨日、村の市長は身代金目的の手紙を受け取った。100ポンドの食料を彼らの隠れ家の入り口に届けなければ、捕虜となった冒険者たちは殺され、襲撃も続くだろう。

上記以外には、この遭遇の物語の詳細は意図的に曖昧なまま残されているので、あなたは自分のキャンペーンや設定に合わせてより細かく修正を入れることが出来る。

この遭遇は、「戦術遭遇:村の襲撃者」の続編としても、単独のミニアドベンチャーとしてもプレイできる。これら2つの遭遇の間のギャップを埋めるならば、侵略者の足跡をたどって丘を越え、洞窟に至るまでにいくつかのシーンを追加すると良い。

望むならば、キャラクターたちがこの遭遇の前に2レベルになることを許可するか、あるいは、必要とするXPを与えるために、荒野を探検する間に1つ、2つのランダム遭遇を挿入すると良い。

必要なもの

この遭遇は、「Tactical Maps Reincarnated」マップパックに含まれる「Arcane Hideout」マップの一部を使用する。 (以下、アドベンチャーとあまり関係ないので省略)

マップを使用したプレイ

この例では、「Arcane Hideout」マップの一部を使用する。

物理的な地図を半分に折りたたんだり、デジタル地図の一部を切り抜いたりすると、地図の端には洞窟の壁がないことに気づくだろう。これらのマップの端は、壁として、または他のダンジョンと接続するトンネルとして扱う。

map

この図例はある時点でのスナップショットだ。冒険者たちがエリアに入った瞬間の、このエリアに関係するすべてのクリーチャーの開始位置を示している。キャラクターたちは青い四角の中のどこからでもプレイを始めることができる。赤でマークされた敵性のクリーチャーと緑でマークされた中立的なクリーチャーは、割り当てられた場所から始まるが、そこにとどまっているわけはない。彼らは動いたり、行動したり、反応したりする。

マップの特徴

この洞窟は冷たく湿っていて、汗や湿った毛皮の匂いがする。次の一般的な特徴をもつ。

天井。この洞窟の天井は、施設全体を通して約20フィートの高さだ。

床。洞穴は傾斜しており、緩やかな上り坂となっているが、移動を妨げるほどではない。石や瓦礫で埋め尽くされた地図のスクエアは移動困難な地形である。

光源。この施設は、天井の穴を通る細い光によってぼんやりと照らされている。これらの穴の大きさは様々で、洞窟に新鮮な空気と光の両方を供給する。これらは数年前に洞窟の元の住民によって空けられたものである。

戦術遭遇:洞窟の守り手

この戦術遭遇は、4人の2レベルキャラクターたちのパーティに適している。キャラクターが3人以下か6人以上、またはパーティが2レベルよりも高い場合は、必要に応じてモンスターを追加または削除すること。

この遭遇は、キャラクターたちの戦闘技能を試す挑戦的なものとなるように設計されている。プレイヤーが複雑なD&Dのルールに慣れていない場合は、この遭遇は3レベルのキャラクターのパーティに適している。

このセクションでは、このエリアのモンスターがどう行動するかを説明する。注目すべき項目や地形は、それらに最も近いモンスターと一緒に説明される。この遭遇のシーンを描写するなら、次の文を読むか言い換えること。

君たちが洞窟の入り口にたどりつくと、内部のトンネル群があらわになる。上の天井の穴を通る小さな光の筋によって中はぼんやりと照らされている。濃厚な動物性の匂いが空気を満たしている。トンネルは君たちの前で三又に分かれている。中央の通路は瓦礫で満たされている。何かがぶつぶつ言ったり、物を投げたりしているのが聞こえる。

バグベア

入り口近くの洞窟には、グリップズという名前のバグベアの頭目と、部下のバグベアが潜んでいる。二人は騒いだり、肉の塊をつついたり、瓦礫をめくって宝物を探したりしている。キャラクターたちがこっそり洞窟に入るなら、難易度11の【敏捷力】〈隠密〉集団判定を行う。失敗した場合(またはこっそりと近寄らない場合)、バグベアたちは侵入音を聞き、直ちに騒音を出すのをやめる。バグベアたちは未知の侵入者を見ると、隠れて攻撃の準備をする。唸り声と物音は突然止む。

不意打ち攻撃!いずれかのバグベアに視線が通ったキャラクターは難易度16【判断力】〈知覚〉判定に成功することで、彼らに気づくことが出来る。キャラクターが隠れたバグベアに気づかない場合、バグベアの最初の攻撃は有利になる。この最初の攻撃は、バグベアの不意打ち攻撃の特性によって追加のダメージを与える。いずれかのバグベアが戦闘を開始すると、彼はゴブリン語で仲間に助けを求めて吠える。この叫びは南のコボルドに警告を伝える。コボルドたちは忍び足で調査しに来る。西にいるバカなオーガは音に気づくものの、ゴブリン語を話せないので無視する。

瓦礫。瓦礫があるマスは移動困難な地形である。5フィート四方マス分の瓦礫を10分かけて掘るキャラクターは、難易度15【知力】〈捜査〉判定を行う。成功すると、キャラクターは1d6 gpを見つける。そのマスを以降調査しても何も見つからない。キャラクターたちが瓦礫から合計25 gpを獲得すると、この方法でそれ以上gpを見つけることはできない。

物資。盗まれた物資は略奪者たちに大部分を食べられてしまったが、50ポンドの保存食、50ガロンのきれいな水、20ケースの赤ワインはまだ無事である。バグベアの頭目は、金や宝石などの貴重品を、捕虜となった冒険者たちが投獄されている場所に移している。

コボルド

3体のコボルドがこの洞窟の南の部屋に潜んでいる。キャラクターたちが入ってきたとき、彼らはうたた寝している。あるクリーチャーがコボルドの30フィート以内に入ると、コボルドは目を覚ます。ただし、そのクリーチャーが難易度8【敏捷力】〈隠密〉判定に成功していれば、その限りではない。バグベアやオーガが助けを呼ぶと、彼らは目を覚ます。

コボルドはダンジョンの騒音を調べにいき、スリングを使って長距離から攻撃する。

彼らは、ヒット・アンド・ランの戦術を用いる。攻撃して、その後敵から30ft以上離れる位置に移動する。可能ならば、洞窟の壁を利用して、敵の遠隔攻撃から完全遮蔽を取ろうとする。キャラクターたちの1人がコボルドを攻撃したり、呪文の標的にしたりした場合、コボルドは戦闘から逃げ、キャラクターたちが洞窟からいなくなるまで隠れる。もちろん、これはコボルドが攻撃を生き延びた場合の話だが。

オーガ

オーガのグレックは最近加わったモンスターの悪党だ。彼は哀れなほど鈍重だが、信じられないほど強い。彼は十分な報酬―――人型クリーチャーの生肉―――を得ている限り、バグベアのグリプズのどんな命令にも従う。彼に与えられた現在の命令は、西のトンネルに沿って北南にパトロールし、囚えた冒険者たちが逃げないようにすることである。

グレックは教育水準の低い愚か者であるにもかかわらず、洞窟について一つのことを学んだ。バグベアとコボルドが忌避するマジックサークルに入ることで、戦いの痛みを和らげることができるということだ。オーガは攻撃されると、助けを求めて叫び、マジック・サークルに向かう。コボルドは彼の援護を急ぐが、バグベアは慎重に接近する。オーガは彼らにとって消耗品であり、バグベアはこの時間を使って待ち伏せを仕掛ける。

マジック・サークル。この洞窟は何年も前、デーモンロード・オルクスの邪悪なるクレリック集団の隠れ家だった。彼らの指導者がパラディンに殺された後、カルトは解散し、隠れ家は放棄された。しかし、彼らの不浄なる儀式円は残りつづけた。サークルの力は年とともに少し衰えたが、オルクスの冒涜的な力の名残が残っている。円内の悪のクリーチャーは、ACに+2のボーナスを得て、ターンの開始時に1d6ヒットポイントを回復する。

捕虜となった冒険者たち

怪物に挑んだ冒険者は、キャラクターたちが最初というわけではない。2日前、別の冒険パーティが怪物たちを殺すために出発したが、彼らは丘で待ち伏せされた。パーティのうち2人はオーガに殺害され、残りの2人は身代金目的でバグベアに捕らえられた。一人はダレナという名の陽気な女性ヒューマンのならず者であり、もう一人は彼女と仲の良いレス・ダイサーという名の男性ハーフドラウの密偵である。彼らは、いつかオーガが退屈して彼を食べようとするのではないかと恐れており、救出してくれる者に対して惜しみない賞賛を送る。彼らはキャラクターたちに何の報酬も払えないが、ダレナは感謝として次の冒険でキャラクターたちを援助することを誓い、彼らのレス・ダイサーにも同行するよう強制する。

冒険者たちの武具と武器については、グリプズが貴重品をすべて保管している箱に保管されている。

宝箱。この箱には、捕虜となった冒険者たちの道具と、略奪者たちが村から略奪した硬貨や宝石が入っている。30 gp、100 sp、1200 cp、25 gp相当の銀のネックレス、1gp相当の白鑞の指輪1ダース、50gp相当の驚くほど美しいダイヤが付いた金の結婚指輪が入っている。

結末

怪物が倒されると、キャラクターたちは自由に村に戻ることができる。もし彼らが盗まれた食料を回収するなら、おそらく町からミュール(ラバ)で引かれた1、2台のカートを借りて洞窟に戻ることになり、彼らはさらに報酬を受ける。

キャラクターたちが滞在する村の市長であるレックス・グリフィスは、彼らの勇姿に感謝状を書き、彼らがフィオーネ夫人の城に行くことを勧める。彼女は王国の貴女であり、冒険者たちの偉大な行為に対して適切に報いることができる。おそらく彼らにもっと大きな冒険をもたらすことさえできるだろう。