パート2:ファイアーシアの霜と恐怖

1つ目の配達

このシリーズの第1部である「アイスブレイカー号に積みこめ」で説明されているように、キャラクターたちはラスカン・デリバーズのメンバーだ。これは、アイスウィンド・デイルやソード・コースト北方の危険地域に小包や手紙を届ける輸送サービスである。先の冒険で、彼らは帆船「アイスブレイカー号」に、ラスカンの多彩な人々の荷物を積み込んだ。

その冒険で、彼らは3人のキャラクターから荷物を受け取った。安心してほしい。他の荷物はすべて他のデリバーズのメンバーによって収集された。これ以降、このシリーズの各冒険では、新しい地に到着し、これらの荷物の1つを配達する。そのたびにキャラクターたちは命を危険にさらすことになる!

アイスブレイカー号はラスカンからソード・コーストを北方に向かって進んでいる。気温は日が経つにつれて冷たくなり、今や海氷の破片がときおりアイスブレイカー号の周囲を漂っている。キャラクターたちは、ラスカンから北西100マイルのところにある沿岸の鉱山都市ファイアーシアに向かう予定だ。この町は約15,000人の人口があり、その約半数がドワーフで、残りのほとんどがヒューマンである。 ここに住む勇敢な民はしばしば鉄などの鉱石を掘るために雪山へと向かう。時には希少で最も硬いアダマンティンの鉱床がファイアーシアの近くで発見されることがある。

map このソード・コースト北方の地図は、Mike Schleyによって、「クリスタル・シャードの影」用に作成された。彼のウェブサイトでは、この地図の高解像度版などを販売している。

この冒険では、キャラクターたちは”黒蜘蛛”というドラウの手紙をファイアーシアの知人に届ける。手紙はグリッグル・ダスクロッホという名前の人物に宛てられている。もしプレイヤー達がこの人物を見つける方法を知らないなら、アイスブレイカー号に乗っているラスカン・デリバーズの他のメンバーの一人が新入りたちにアドバイスする。 上陸したデリバーズが最初にすべきことは、町の担当者を見つけて、荷物の受取人をどこで見つけられるか尋ねることだ、とね!

グリッグル・ダスクロッホとファイアーシアの騒動

“黒蜘蛛”の暗号手紙の受取人は”混沌にして中立”のドゥエルガルの鍛冶屋で、エレメンタル魔法とその製錬への応用に関心を持っている。彼は現在、エレメンタルの次元界から力を引き出して生のアダマンティンを製錬する実験を行っている。そうして、アダマンティンの武器や防具を作るのを容易に(そしてより安価に)しようとしている。

この意地悪なドゥエルガルは、他人の安全よりも実験の成功にこだわっている。これは彼が自分の労働に一心で集中しているからであり、良心の呵責がまるでないというわけではない。彼の実験用のエレメンタル炉は見た目こそガラクタのようだが、実際には狙い通りに稼働する! しかし、ひとつだけ問題がある。グリッグル・ダスクロッホは、エレメンタル界の魔法を使った自身の実験が、約2日前にメフィットの大群をファイアーシアに呼び寄せたという事実を全く知らない。これらのエレメンタル・クリーチャーは町中に大混乱を引き起こしたが、ずる賢いことにグリッグルを鍛冶場に放置した。彼は何も知らずに今もなお多くのメフィットを物質界に送り続けているのだ。

鍛冶屋の近所に住む人々の大半はすでに、港に面した多くの飲み屋のタップルームに避難している。地元コミュニティのリーダーである人間の女性、カラナイ・グレイファーは、ファイアーシアの人々を保護する任務に就いている。キャラクターが到着すると、彼女から町の危機について教わることになる。彼女はグリッグルが危機の原因であることは知らないが、キャラクターたちはダスクロッホの炉に向かう途中、ファイアーシアの通りでメフィットと戦うことで、状況を結びつけてしまうかもしれない。

戦闘遭遇:ファイアーシアの霜と恐怖

これは1lvのキャラクターに適している。

キャラクターたちはファイアーシア港に到着する。状況を設定すべく、次の説明を読む。

アイスブレイカー号はファイアーシアの町の港に到着する。この町では多くの家屋が港を囲んで三日月形に建っており、埠頭の近くにいくつかの大型施設が見える。君たちが近づくと、町の向こう側に10数本の細い煙の柱が立ち上っているのに気がつく。この距離から見ても、いくつも家が燃えていることは明らかだ。

船がドックに停泊すると、丈長の緑のドレスを着て肩に灰色狼の毛皮をかけた金髪の女性が家の1つから近づいてくるのが見える。彼女は船着き場に立ち、手を高く上げて挨拶する。

この女性はカラナイ・グレイファー、東部地区でメフィットの攻撃によって立ち退かされたファイアーシアの人々の代表である。彼女はパーティに近づき、キャラクターたちに手招きをする。彼女はアイスブレイカー号のことを知っており、ファイアーシアへの到着を歓迎し、要件を尋ねる。メフィットの問題について質問されると、彼女は東の地域にいたずら好きで暴力的なエレメンタル・クリーチャーが現れ始めたこと、そして、その理由は誰にも説明できないことを話す。グリッグル・ダスクロッホについて尋ねられると、彼女は東部地区にある彼の鍛冶屋を紹介し、彼をいつも炉に魔法をかけて実験をする隠遁の奇人だと説明する。彼女は彼がまだ危険区域から逃げていないことを指摘し、危なくないのかと不思議に思う。

彼女はキャラクターたちに、街を歩くのは危険かもしれないと警告し、注意を促す。彼女は、もし彼らがメフィットの暴走を少しでも食い止められるなら、その侵攻を止める手助けに応じて最大25 gpの賞金を彼らに支払うことを約束する。

ファイアーシアの探索

ファイアーシアのほとんどはまだ比較的落ち着いているが、グリッグルが行っているエレメンタルの実験のせいで町の東側近くからメフィットの群れは手つかずのまま広がっている。キャラクターたちが町を探索すると、3つのメフィット群に遭遇する。

  1. 立ち並ぶ家に火を吹き、焼き払おうとしている3体のマグマ・メフィット
  2. 焦げた市場の露店の残骸から出現する4体のスモーク・メフィット
  3. グリッグルの家の軒先につららのようにぶら下がる3体のアイス・メフィット

キャラクターが遭遇する場所を描写し、必要と思われる追加の詳細を即興で説明すること。これらのメフィットは皆、破壊を撒き散らすことのみに関心を持っている。メフィットたちはキャラクターを見つけ次第攻撃を仕掛けてくるが、キャラクターは先にメフィットに気づけるだろう。キャラクターは正面から攻撃することもできるし、こっそり通り抜けて、戦闘せずに遭遇を突破することもできる。メフィットの小集団をこっそり通り過ぎるには、キャラクターは集団【敏捷力】〈隠密〉の判定を行い、メフィットの受動【判断力】〈知覚〉値以上の値を出さなければならない。

キャラクターがメフィットを倒した場合、それを記録しておくこと。少なくとも10体のメフィットを倒せば、カラナイは感動し、冒険の最後に大きな報酬を与える(下記「結末」参照)。

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グリッグル・ダスクロッホとの遭遇

グリッグルの炉に到着したら、次の言葉を読んだり言い換えたりすること。

この火炉の煙突からは奇妙な青と赤の火花と煙が立ち上る。鍛冶屋の中では、灰白色の皮膚と真っ白な髪を持つスタウトドワーフがふいごを吹いたり、時には色とりどりの粉を入れた小型カップを火炎に投げ入れているのを見る。

このドゥエルガルこそがグリッグル・ダスクロッホである。上の「グリッグル・ダスクロッホとファイアーシアのトラブル」セクションで説明したように、彼はエレメンタルの炉を完成させることにのみ集中しており、メフィットが近隣地域に猛威を振るっていることに気づいていない。実際、DC11【魅力】〈説得〉判定に成功しなければ、彼はキャラクターたちを無視する。エレメンタルの怪物たちが暴れていることが明らかになると、彼は首を振り、とても悲しい状況だと言うものの、自分の研究を止めることはない。その結果はいつかフェイルーンのすべての人々の利益になる可能性があるからだ!

“黒蜘蛛”からの手紙が届くと、彼は感嘆の声をあげる。そうして「親愛なる旧友」の安否を尋ね、彼は”黒蜘蛛”のいつもの様子を芝居がかった様子で楽しく語り、その手紙に素早く目を通す。暗号化された手紙を読んだ彼の眉は上がり、興奮して叫ぶ。手紙をテーブルの上に叩きつけ、錬金術粉を新しくカップに集め始める。尋ねられるとグリッグルは、”黒蜘蛛”が旅行で発見した元素粉末の新しい組み合わせの処方を彼に送ってきたと説明する。それは、物質界とエレメンタル界の間を安定させ、効果的にエレメンタルの力を集中させることができ、さらに界外のクリーチャーが物質界に流れ込むリスクを減らすのだという。

彼はキャラクターたちに、半オンスの香塩、四分の一オンスの粉末土、ビーカーいっぱいの水、そして消火した火事現場の残渣を詰めたチューブを用意するよう頼んでくる。彼を助けるキャラクターは、DC13【知力】〈捜査〉判定を行い、これらのエレメンタル物質を見つける。成功すると、グリッグルはキャラクターたちの助力に感謝し、冒険の最後に彼らに礼をするだろう(下記の「結末」を参照)。

グリッグルがエレメンタル物質を火炉に投げ入れ、神秘的な言葉を唱えると、火炉は紫色の炎を上げ、その後、小さな白い火へと変わる。グリッグルは楽しそうに飛び跳ね、”黒蜘蛛”の名を大声で叫ぶ。彼は手紙配達の礼として各キャラクターたちにつき5gpを支払う。また、個人的な感謝としてアダマンティンの延べ棒3本を与える。彼は鍛冶屋ではなく、延べ棒を加工できない。だが、きっとキャラクターたちは旅の途中で延べ棒の何らかの用途を見つけることになるだろう。その後、彼は労働に戻り、キャラクターを無視して作業に再び没頭する。

結末

キャラクターたちが波止場に戻ると、カラナイ・グレイファーは再び彼らに挨拶し、キャラクターたちが東部地区の混乱を生き延びたことを讃える。キャラクターたちが都市探索中に10体以上のメフィットを殺した場合、彼女は混乱がある程度おさまったことを指摘し、キャラクターたちの勇敢さに感謝し、助力の礼としてキャラクターごとに5gp、合計25gpを手渡す。そうして、彼女の顔に影が差す。多くの町民はグリッグルが町の混乱の原因だと考え、彼を荒れ地に追放したいと思っている、と彼女は言う。グリッグルに本当に責任があるのかどうか、彼女はしかめて尋ねる。

キャラクターたちがグリッグルに責任があることを明らかにした場合、彼女は悲しそうにうなずき、町からドワーフを追放せねばならないことを告げる。夜明けには群衆が彼の鍛冶場を取り囲むことになるだろう。キャラクターたちがグリッグルを無事に立ち去らせたいと望むなら、彼らはこの盲目的な研究者に、立ち去らなければ実験室が破壊される危険があることを伝え、説得を試みることができる。DC13【魅力】〈説得〉または〈威圧〉の判定に成功すると、グリッグルは自分の鍛冶場を分解して街を去る。もしかしたら、キャラクターたちは彼をアイスブレイカー号に乗船させ、彼が再び店を置く場所を決める手伝いができるかもしれない。そうでなければ、グリッグルはキャラクターたちの心配を吹き飛ばす。明日の正午までに、彼の鍛冶場は群衆に破壊され、グリッグルは行方知れずとなることだろう。

キャラクターたちが嘘をついて、混乱の背後にグリッグルがいないことをカラナイに伝える場合、彼らはDC13【魅力】〈ペテン〉判定を成功させなければならない。事前に少なくとも10体のメフィットを先に倒していた場合、この判定に有利を得る。成功すると、彼女はため息をつき、それがすべて誤解であることを願っているとぼやき、風変わりな精錬所を放っておくよう町民を説得することを決める。失敗すると、彼女は顔をしかめ、嘘を見抜く。そして彼女は、結局はグリッグルが責任を負っていると確信する。(上記参照)。

最終的にどうなったとしても、ファイアーシアのキャラクターたちのアドベンチャーは終わりである!キャラクターたちは準備をして、アイスブレイカー号に戻る。次は氷山の町オーリルスバーグへと向かう! 「アイスウィンド・デイル:凍てつく乙女の詩」のD&DBeyondデジタル版を予約して、氷結デザインのデジタルダイス一揃いのような先行予約ボーナスを無料でゲットしよう。