パート3:オーリルスバーグで待ち伏せ

2つ目の配達

この冒険におけるキャラクターたちの第一の目的は、火山の町オーリルスバーグにいる受取人に荷物を届けることである。キャラクターたちはラスカン・デリバーズのメンバーであり、フェイルーン北部の危険な場所に荷物を届ける使命を帯びている。キャラクターの主要目的は冒険の中で、荷物を奪い返すため謎のワーラットの殺人者と戦うことへと変わっていくかもしれない。

今週、キャラクターたちは元クラーケン協会の暗殺者ロールから受け取ったシャドウデイル・ブランデーを元恋人である白いドラゴンボーンの暗殺者グラース・ドルマに届ける最中だ。彼はそれを贈って数年前の関係を修復しようと目論んでいる。第三の暗殺者であるワーラットのファンガー・ボッシュは、ロールを自身の恋人と見なし、グラースとの関係改善を目論む彼の試みを妨害しようとしている。この命がけの三角関係はちょっとバカバカしいかもしれないが、これはダークコメディーシリーズだ!「凍てつく乙女の詩」の恐怖が最大限に達する前に笑いを取りに行こう。

オーリルスバーグは、ファイアーシアの北西にある火山性の島アイスピークにある約3,000人規模の町だ。町は1年のほとんどの期間に厳しいみぞれと雪が降り、そこに住む屈強な猟師たちは毛皮、クジラ、魚を近隣の他の集落に売っている。特にラスカンはオーリルスバーグとの貿易で大きな利益を得ている。というのもオーリルスバーグはラスカンの船長たちの遠大な植民地に過ぎないからである。

map このソード・コースト北方の地図は、Mike Schleyによって、「クリスタル・シャードの影」用に作成された。彼のウェブサイトでは、この地図の高解像度版などを販売している。

戦闘遭遇:オーリルスバーグで待ち伏せ

これは1Lvのキャラクターに適している。もし彼らがダメージを与える魔法を使用できない場合、この遭遇は通常よりも困難になるかもしれない。

この冒険は、夜遅くにアイスブレイカー号がオーリルスバーグ港に到着するところから始まる。船長(白髪交じりで嫌味なハーフオークの古強者タース・シルバーメイン)は、船員たちに朝まで船上で待機するよう命じる。キャラクターたちは船長の命令に従うことを要求されているが、こっそり抜け出すことはできる。それぞれの船室には2つの簡易ベッドがある。プレイヤー達に、彼らのキャラクターが、この遭遇前の夜にどこで寝るのかを尋ね、そして暗殺者が攻撃する部屋を密かに決めておくとよい。

船長シルバーメインの命令に従った場合、夜に船室に入った暗殺者と遭遇する。こっそり抜け出す場合、この遭遇はオーリルスバーグの街で発生する。いずれにしても、遭遇時の状況は薄暗く、月光でのみ照らされている。

待ち伏せ。この遭遇は、ワーラットのファンガー・ボッシュがキャラクターの1人を攻撃して開始される可能性がある。ファンガーがパーティを不意打ちしたか判断するため、彼女に【敏捷力】〈隠密〉判定を行わせ、キャラクターの受動【判断力】〈知覚〉値で対抗させる。 キャラクターたちが眠っている場合は、受動【判断力】〈知覚〉値から5を差し引く。判定が成功すれば、彼女は気づかれず接近し、キャラクターを不意打ちする。不意打ちされたキャラクターは最初の戦闘ターンを失い、ファンガーに気づかないキャラクターへの最初の攻撃は有利を得る。

ファンガー・ボッシュのロールプレイ。ファンガーは、無感動な殺人を長年続けたことで心が固くなってしまった。彼女に残された唯一の本当の感情は利己心だ。そして、彼女が長く熱を上げるロールが他の人に求愛していると聞いて彼女は怒りで満たされた。彼女は人型形態で攻撃し、攻撃の最中に愛する人を奪われた、などと支離滅裂なことをわめく。

ダメージの無効化。ファンガーは恐るべき敵である。 なぜなら、彼女は魔法的でない攻撃による[殴打]、[刺突]、[斬撃]のダメージに対して完全耐性を有するからである。ただし、それらの攻撃が銀で作られていれば、その限りではない。たいまつやガスランプのような即席武器を使用する場合、その武器は1ポイントの[火]ダメージを与える。

戦闘の終了。もしファンガーのヒット・ポイントが半分に減らされると、彼女は離脱アクションをとり、逃走する。つかまれた状態であれば、ジャイアント・ラットに変化して巧みに組みつきから脱出する。キャラクターたちが追跡すると、一行から隠れた場所でジャイアント・ラット形態に変身して隠れる。

オプション:攻撃の通報

キャラクターが望むなら、船長シルバーメインに攻撃を通報できる。船長は危機を真摯に受け止め、ラスカンを出た直後に船員の一人が殺されたことを明かす。彼はパニックを避けるため秘密にしていたが、一行の報告の後、彼は船員を警戒態勢にすることを決める。プレイヤー達が攻撃者がワーラットであると疑う場合、シルバーメインはファイアーシアで銀の武器を用意しそびれたと悪態をつく。彼は、銀製武器を探すべく乗組員を港に派遣し、見つけたものは何でもキャラクターたちに渡すと言う。その間、船長はキャラクターたちができるだけ早くオーリルスバーグを離れることができるよう、配達を急かす。

キャラクターたちが4時間後にアイスブレイカー号に戻ると、船員の1人が銀メッキされたショートソードをかなりの金額で購入したこと、そして船長シルバーメインがラスカン・デリバーズのつけでキャラクターたちにそれを貸すつもりだと伝える。

「この剣はお前の命よりも価値があるな」と彼は言う。「なくしたら、返済するために働いてもらうぜ。」

オーリルスバーグへの到着

キャラクターがオーリルスバーグに入ると、彼らは小包の受取人であるグラース・ドルマという名前のドラゴンボーンを探すため、街を歩き回ることになるかもしれない。地図や地元の通りを把握したいと望むキャラクターたちは、難易度13の【判断力】〈生存〉判定を行い、アイスピーク島の沿岸で釣りをする人々の集合場所であるシーフィッシャーズ・ドックのそばにグラースの家を見つけることができる。

そこに向かうとキャラクターたちは、町のリーダーである大船長アマスリア・ロルスクと町の長屋で出くわす。アマスリアは金持ちの女性で、オーリルスバーグを金稼ぎの場所と捉えており、どうやって金をラスカンの金庫に流し込むか、また自分の懐を潤すか、という事ばかり考えている。彼女はラスカン・デリバーズと良好な関係を維持することを強く意識しており、配達人をすぐにグラースの家へと案内してくれる。一方で、キャラクターたちが望むなら、彼女はキャラクターたちを店に案内し、必需品や雑貨を買う時間を与える。

オーリルスバーグの市場に立ち寄ったキャラクターは、10gp以下の『プレイヤーズ・ハンドブック』の第5章のアイテムを購入できる。また、それぞれ5spで珍品奇品を買うこともできる。『プレイヤーズ・ハンドブック』第5章の珍品奇品テーブルを5回ロールして、購入可能な品を決定すること。さらに、店の奥にある陳列棚に銀のショートソードが陳列されている。 店主は100 gpで販売しており、値下げ交渉をしたとしても75 gp以下で手放すことはない。

グラースの棲家へ

彼らが町を通ってグラースの住居へ向かう際、受動【判断力】〈知覚〉の値が14以上のキャラクターはなにか小さい人影が約40フィート後ろの2階建ての建物の屋上から屋上へと飛び移りながらこちらを尾行しているのに気がつく。この人物は中間形態のファンガーで、ハンド・クロスボウの良い射撃位置を見つけようとしている。

キャラクターたちが彼女に気づくと、彼女は一発(長距離射程にいるので不利で)発射し、そして別の屋根に飛び移る。次のターン、彼女はジャイアント・ラット形態に姿を変え、家の地下に潜り込む。キャラクターたちは、エリアを1分間捜索し、難易度19【判断力】〈知覚〉または〈生存〉判定に成功することで、隠れているファンガーの痕跡を見つけることができる。彼女は追跡が終わるまで隠れ続ける。

もしキャラクターたちが誰も彼女に気づかない場合、彼女はハンド・クロスボウでキャラクターのひとりを攻撃し、別の屋根へと飛び移って再び隠れ身を行い、それを繰り返す。

ブランデーをめぐる戦い

グラースの家に到着したら、以下の文章を読んだり言い換えたりして状況を説明すること。

君たちの前に立つ家は、急勾配の屋根とシンプルな木の壁でできている、わずか10フィートほどの小屋だ。ドアには松の枝を釣り糸で束ねたリースが飾られているが、この質素な家の唯一の飾りものだ。君たちが近づくと、青白いドラゴンボーンの顔が窓からこちらを覗き込む。

窓から見えるドラゴンボーンは、小包の受取人であるグラース・ドルマである。このドラゴンボーンは、彼が暗殺者として目撃したものや行った下劣な行為に苦悩している。彼は絶えず目が泳いでおり、その外見は彼が住む貧しい家と同じように粗末だ。しかし、それにもかかわらず、彼にはある種の痩せたハンサムさがある。

グラースはドアを開けて、慌ててキャラクターたちに何者なのか、ここで何をしているのかを尋ねる。ロールの手紙を見せられると、彼は一瞬あっけにとられる。「シャドウデイル・ブランデー・・・」彼は立ち止まり、長く忘れられた記憶を思い返す。「これを私に送ってくれる人は1人しかいない・・・君が送ったのか・・・?」

その瞬間、ジャイアント・ラット形態のファンガーが街の通りを駆け走り、パーティーの後列にいるキャラクターの一人に飛びかかる。彼女は「あなたは私の愛を受け取ってくれないのね!死ね!」と叫び、戦闘が始まる。イニシアチブロールを行うこと!

キャラクターたちはこの戦闘で不利な状況にあるかもしれない。銀の武器やダメージ呪文を持っていない限り、誰もファンガーに大きなダメージを与えることができないからだ。どうしようもないキャラクターたちは代替案を考えるかもしれない。例えば、ファンガーを掴んで凍える海に彼女を溺れさせるとか、あるいはグラースの冷気のブレスの援護を求めるなどの方法だ。

グラースの援護。グラースはホワイト・ドラゴンボーンのならず者で、死に関する恐ろしい記憶を多く持ち、できるだけ対立を避けようとする。キャラクターたちがアクションとしてDC 13【魅力】〈説得〉判定を成功させた場合、彼は手助けすることを決める。彼は(「祖先の竜」特性によって与えられた)冷気のブレスを使ってファンガーにダメージを与え、次に援護アクションを使ってその後のキャラクターを援護する。

結末

ファンガーが敗北すると、頭にヘルメットをかぶったオーリルスバーグの民兵の一人が大慌てでやってきて、何が起こっているのかを尋ねる。キャラクターたちがファンガーを殺す代わりに他の方法で彼女をノックアウトしていた場合、ファンガーを逮捕すると申し出る。

グラースは謝罪し、そして小包配達に支払う十分なお金を持っていないことを伝える。代わりに、彼はこの先の旅に役立つ幸運のお守りを彼らに与える。この輝く石は、彼が何年も前にアノーラックの沖合で殺した男から拾ったものだ。彼はキャラクターたちに、この石が助けになるかもしれないと伝える。このお守りが、世界の端に住む怯えた老ドラゴンボーンに使われるよりも、良きことのために使われれば、哀れな魂もきっと浮かばれることだろうと。このお守りはラックストーンである。

キャラクターたちは、この冒険の最後に2lvになる。経験値計算をしているなら、代わりにマイルストーン制を採用することをおすすめする。これにより、キャラクターは、この先の冒険で待ち受ける試練に立ち向かうだけの強さを得ることができる。