パート4:氷海の邪悪

アイスブレイカー号の戦い

ファイアーシアに戻り、テン・タウンズへの陸路の準備をしたいキャラクターたち。しかし、街へと向かう途中、彼らの船は海のアンデッドに襲われる!港に到着するまで、船員や船長とともに、アイスブレイカー号が破壊されないよう守らねばならない。

この遭遇でアイスブレイカー号を攻撃するジャイアント・シャーク・スケルトンは、アイスウィンド・デイルの「ケルヴィンの石塚」として知られる山岳近くで悪の魔術を行うフロスト・ジャイアントの死霊術士による副産物だ。キャラクターたちが小包を配達する予定のアータス・シンバーという名前の冒険者が、この脅威に立ち向かおうとしている。そしてそれを知らないキャラクターたちは、彼の悪との戦いの余波をなんとかせねばならなくなったのだ。今後の遭遇では、彼らは配達の過程で、この悪の根源と決着をつける予定だ。

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戦闘遭遇:氷海の邪悪

この戦闘遭遇は、2lvキャラクターのパーティーにとっては致命的な難易度だ。しかし、彼らはアイスブレイカー号の船員の助力を得て戦う。ダンジョン・マスターは、この戦いで英雄たちを全滅させぬよう、モンスターとNPCを慎重に管理する必要があるだろう。

次の内容を読んだり言い換えたりして、概要を説明すること。

君たちはアイスブレイカー号の甲板に立ち、霧に覆われた極寒の海を東向きに眺めている。やがて、地平線の遠くに山々が見えてくる。朝霧の静かな平和は、見張り台の叫びで破られる。「船長!」と船乗りが叫ぶ。「船尾方向から、何かがわれわれの方に向かってきています。速い。進路が妨害されます!」

アイスブレイカー号に向かってくるのはジャイアント・シャーク・スケルトンだ。骨は白く、2つの眼窩には黒光りする大きなブラック・オニキスがはめ込まれている。「Sleeping Dragon’s Wake(未訳)」のアドベンチャーにアクセスできない場合、ジャイアント・シャークのデータ・ブロックを使用すること。ただし、[毒]のダメージに対する完全耐性をもつ。また、体内に人型生物のスケルトンを保持しており、20フィートの歩行移動速度を有している。

サメはアイスブレイカー号の後部に激突し、船を揺り動かす。そうして、船員がデッキに殺到するころには船体に噛みつきはじめる。ハーフオークの古強者である船長タース・シルバーメインは、舵の傍に立ち、命令を怒鳴る。キャラクターたちが命令を求めた場合、船長は彼らに、船の船尾をかじっている獣を退治するように求める。イニシアチブを振れ!

2ラウンド経過してもキャラクターたちがサメを取り除くことができない場合、サメは船の船尾に穴を開け、アイスブレイカー号は水漏れして波の下に沈んでしまう。これは、次の「シャーク・アタック!」セクションで詳しく説明する。キャラクターは、サメを強制的に動かすことによって(例えば、拒絶の怪光線で強化されたエルドリッチ・ブラストなど)、またはサメにダメージを与えることによって、サメを取り除くことができる。キャラクターたちが骨のジャイアント・シャークに25以上のダメージを与えると、船の下に潜り込み次の攻撃の準備をする。

シャーク・アタック!

次の文を読むか言い換えること:

サメが波の下に姿を消すと、船長シルバーメインが唸る。「気に入らねえな・・・あまりにも簡単だ。みんな、油断するな!」

巨大なスケルトン・シャークは暗い海の下に潜り、1ラウンドは何事もなく経過する。キャラクターは回復や保護の魔法を発動するチャンスを得る。そしてイニシアチブに従い、巨大スケルトン・シャークが海から空に飛び出し、アイスブレイカー号のデッキに着地して恐ろしい脅威となる。恐ろしいことに、スケルトン・シャークは6対の人形骸骨の足をもっており、立ち上がるのである。DC 13【判断力】〈知覚〉判定を成功させたクリーチャーは、サメの中に6体のサフアグンのスケルトンが捕らえられており、それを使ってサメが立ち上がったことがわかる。跳躍をして、サメはこのターンを終了する。シルバーメインはデッキ下の船乗りに協力を仰ぐ。

イニシアチブをロールすること。船乗りたちはイニシアチブロールに+1ボーナスがある。様々な種族の10人の船乗りの小集団が、1ターン後にイニシアチブ順に現れる。前のセクションでサメがアイスブレイカー号の船体を破壊した場合、5人だけが現れる。他の船乗りは水を汲み出したり、船体の裂け目を修理したりしている。船長シルバーメインも同様に戦闘に参加する。

船乗りの戦闘の扱い方の詳細については、下のサイドバー「大規模戦闘の管理」を参照すること。

シャークの戦術

ジャイアント・スケルトン・シャークは非常に強力なクリーチャーで、1回の攻撃でほとんどのLv2キャラクターのヒットポイントを0にしてしまうだろう。プレイヤーキャラクターたちを攻撃するのは、彼らが(20フィートの歩行移動速度を使って)間合い内で攻撃できる唯一のクリーチャーである場合だけだ。最大ヒット・ポイントが半分になると、サメは吠え、リアクションで体を支えている4体のスケルトンを吐き出す。これで歩行移動速度は10フィートに減少するものの、今度はこれらのスケルトンがキャラクターに襲いかかる。

このサメとそのスケルトンの仲間は破壊されるまで戦う。

大規模戦闘の管理

大規模戦闘はダンジョンマスターにとって最も挑戦的な課題の一つだ。モンスターと10人の船乗りの小集団をプレイするのは、非常に大きな負担がかかる。モンスターとNPCのデータを行ったり来たりさせるのではなく、船乗りたちを1つのクリーチャー・ユニットと考えるとよい。このユニットの各メンバーはマップ上に自身のスペースを持っているものの、基本的にデータ・ブロックは存在しない。クリーチャーがそれらを攻撃すると、その攻撃は出目1以外は命中となり、その攻撃は常にその水夫を完全に殺す(慈悲を与えたいなら、気絶でもよい)。

船乗りの集団は、ジャイアント・シャークへ集中して攻撃を行い、存在する船乗りごとに3点のダメージを与える。サメがユニットをより多く殺すにつれて、出せるダメージは少なくなる。

船長シルバーメインは名前の付いたキャラクターなので、プレイヤー達は他の名もなき船乗りよりも多くの貢献を期待するかもしれない。彼に各ターンに10のダメージを与えるものとする。サメが船長を攻撃すると、船長は即座に0ヒットポイントとなり、気絶状態となる。このシミュレーションをより「公平」または「現実的」に行いたい場合は、事前に秘密裏にサイコロを振っておくのを検討してもよい。もちろん、1ダースのNPCのサイコロをロールすることもできるものの、この方法はより迅速で簡単で、ダンジョン・マスターとしての頭痛の種を減らせるだろう。

結末

ヒットポイントが0になるとサメは破壊される。サメは吠え、のたうち回り、その後乾いた音とともに肋骨や歯の破片を撒き散らして爆発する。サメから20フィート以内の各クリーチャーは、DC13の【敏捷力】セーヴィング・スローを行う。セーヴに失敗すると7(2d6)[斬撃]のダメージを受け、セーヴに成功したものはその半分のダメージを受ける。船乗りや他のNPCは気絶状態になるかもしれないが、サメの死に際の爆発によって殺されることはない。目のくぼみにある2つの大きなブラックオニキスの宝石は、船の甲板に転がり落ちる。1個100gpの価値がある。

この攻撃の後、船長シルバーメインはアイスブレイカー号に対して、できるだけ早くファイアーシアに向かうように命令する。街で船の修理を行い、失った乗組員を埋葬し、新しい船員を見つけるつもりなのだ。シルバーメインがこの戦いで殺された場合、彼の最初の仲間である、サデーサ・ヴェルという名前の茶色の目と銀色の髪をした”混沌にして中立”の女性ヒューマンの古強者が生き残ったものとする。