パート5:嵐からの避難

社会遭遇:ファイアーシアへの帰還

キャラクターたちが、第2部「1つ目の配達」で訪れたファイアーシアの町に戻ったところから、この遭遇は始まる。アイスブレイカー号はこのシリーズの第4部「アイスブレイカー号の戦い」でアンデッド・ジャイアント・シャークとの恐ろしい遭遇によって修理することになり、ここでキャラクターたちは船と船員に別れを告げることとなる。一方で、町では前回出会った人々に出会うかもしれない。ドゥエルガルの鍛冶職人グリッグル・ダスクロッホと共同体のリーダーであるカラナイ・グレイファーだ。

この遭遇を始めるには、次の言葉を読むか言い換える。この文章では、グリッグル・ダスクロッホとカラナイ・グレイファーが、このシリーズの2回目のファイアーシアにおける遭遇で無事だったと仮定している。そうでない場合、キャンペーンの状況に合わせて内容を変更すること。

ソード・コースト北方の氷の海で襲撃を受け、負傷したアイスブレイカー号は、ようやくファイアーシア港に到着した。船長シルバーメインは舵を切り、船を港の奥にある造船所に停泊させるよう命じる。造船所に入ると、馴染みのある人物たちがいる。以前、ファイアーシアに意図せずメフィットの群れを放ってしまった鍛冶職人のドゥエルガル、グリッグル・ダスクロッホと、ファイアーシアの人々の混乱を抑え続けた共同体のリーダー、カラナイ・グレイファーである。タラップを降りる君たちに、彼らは手を挙げて挨拶する。

ファイアーシアで働く2人は、キャラクターたちと話がしたいと考えている。10日ほど前、グリッグルはメフィット騒動への関与を告白し、謝罪した。カラナイは、彼に共同体に奉仕するよう命じた。 彼は毎日、数時間にわたって被害を受けた家を修理するために金属製の道具や材料を作って、寄付をした。二人は当初は敵対的関係だったが、辺境での生活の危険性について意見を交わし、友情を深めた。さて、グリッグルとカラナイの両方がここに来たのは、キャラクターたちに挨拶し、頼み事をするためだ。

「万歳、ファイアーシアの友よ」カラナイは言います。「この町の人々は、皆さんの帰還を喜んでいます。もちろん、私も。」

カラナイとグリッグルは、キャラクターに伝えたいことがたくさんあるものの、単に会話をするだけでも十分喜ぶ。

キャラクターたちがこの要求を受け入れない場合、カラナイとグリッグルは二人ともがっかりする。カラナイはキャラクターたちを納得させるために、前払いの額を2倍で支払うと提案する。それもだめなら、彼女は肩をすくめ、いつか来るであろう、より物分かりの良い配達パーティを見つけることにする。

ファイアーシア出発

キャラクターたちがファイアーシアを出発すると、ちょっとした旅が待ち受けている。幸運にも、ハンデルストーンはテン・トレイル沿いに北約50マイル先にある。これは彼らがテン・タウンズに行くために通る道でもあり、ハンデルストーンは途中の便利な停留所となるだろう。彼らの旅では特に何も発生しない。旅をより危険なものにしたい場合は「ザナサーの百科全書」の低レベル向けの極地遭遇テーブルを使用して、ランダム遭遇を挿入してもよい。

map このソード・コースト北方の地図は、Mike Schleyによって、「クリスタル・シャードの影」用に作成された。彼のウェブサイトでは、この地図の高解像度版などを販売している。

探険遭遇:嵐からの避難

午後になると天気は灰色に曇り、ハンデルストーンから10マイルほど離れたところでキャラクターたちにトラブルが降りかかる。極地の地形を得意な地形とするレンジャー、またはDC15【判断力】〈生存〉判定で成功した者は、空を覆う灰色の雲が雪の降る兆候であること、そしておそらく嵐になるであろうことを認識する。

雪は1時間ほどで降り始め、その数時間後にはどんどん濃くなり、激しい吹雪でキャラクターたちは30フィート先まで見通すことさえ困難になる。キャラクターたちはハンデルストーンに向かって急ぐ必要があるが、テン・トレイルは雪の下に完全に埋まり、見えなくなってしまう。

1時間ごとに、パーティーのキャラクターの一人がDC13の【判断力】〈生存〉判定を行う。(他のキャラクターたちは、援護を行ったり、ガイダンスのような呪文を唱えたりできる)。成功すると、キャラクターたちは進むべき道を見つけ、次の1時間その道を進む。失敗すると迷子になってしまい、進むことができない。1時間ごとに、各キャラクターたちはDC15【耐久力】セーヴィング・スローを行い、失敗すると降り続く雪によって1d10の[冷気]ダメージを受ける。

【判断力】〈生存〉判定を計3回成功させると、ハンデルストーン郊外の小屋を発見する。さらに、大きな雄叫びと戦闘の音を聞く。あるいは、この判定に5回失敗した後、もはや半分凍死したような状態で、小屋にたどりつく。

戦闘遭遇:嵐の中の戦い

次のテキストを読んだり、言い換えたりして、シーンを設定すること。

君たちは吹雪の中、小さな森へと入っていく。木立の中にかすかに素朴な小屋を発見する。そして、獣の吠え声と戦いの叫び声をはっきり聞く。一瞬だけ、巨大なグレートソードを抱えた大きな男が、白い毛皮の獣を退けているのを見た。

アルヴァン・ショートヘルムという名の”中立にして善”のヒューマンの狂戦士が、キャラクターたちから約30フィート離れたところでイエティと戦っている。この小屋は彼のもので、彼は嵐の真っただ中、イェティから家を守るために外へ出た。イェティの1体はすでに死んでいて、その赤い血が周囲の雪を染めているが、もう1体は戦い続けている。アルヴァンはひどく負傷している(彼は残り15ヒットポイントしかない)。残ったイエティのヒットポイントは最大だ。キャラクターたちが介入しなければ、彼は確実に死ぬだろう。

判定の失敗。5回の【判断力】〈生存〉の判定に失敗した後で、この遭遇に到達したのなら、彼は悲惨な状態になってしまっている。遭遇開始時のイエティのhpを最大ヒットポイントの半分(25 hp)に設定し、「凍てつく視線」攻撃を取り除くことで、この遭遇を容易にできる。

戦闘後

イエティを倒した後、アルヴァンは、少なくとも彼がまだ意識を保っているのであれば、キャラクターたちを小屋の中へ入れる。「この吹雪の中にいたら、イエティみたいに死んでしまうぞ!」と彼は叫ぶ。彼の小屋は暖かく、その古い外見を考えると驚くほど広い。彼は真鍮のやかんを火にかけ、寒さを取り除くため、暖かいミードをキャラクターたちに提供する。

この男はアルヴァン・ショートヘルムと名乗る。彼は大男で、肌は黒く、きれいに髭を剃り、黒い髪をしている。筋肉質で、身長は6フィート半弱だ。キャラクターたちが彼の名前を知れば、彼は自身がハンデルストーンに住む2人の鍛冶屋であるファルスタッフとグリメルダ・ショートヘルムの養子だと説明する。彼は現在ドワーフの両親と一緒には住んでいないものの、ハンデルストーンで毎日、父や母(日によって異なる)のもと、弟子として鍛冶の訓練をしている。

アルヴァンはキャラクターたちに暖かい毛皮と囲炉裏で吹雪の夜を越える場所を提供し、朝には彼らを両親のもとに連れて行くことができる。

結末:嵐のあと

朝になると、アルヴァンはキャラクターたちと一緒にハンデルストーンまで1時間ほど北へ向かう。彼は会話をするのが好きで、主な興味は主に日常のサバイバル――罠や、探索、野生の薬――などにある。彼の唯一の真の情熱は鍛冶に、特に高価な道具や刃物に向けられている。

ハンデルストーンは、世界の背骨山脈のふもとにある小さな町だ。その家はほとんどが傾斜の急な屋根のある平屋建ての小さな建物で、例外は町の長老が所有する巨大な家だけだ。伝統的に鍛冶屋で有名であり、驚くべき数の鍛冶屋がある。キャラクターたちが向かっている建物もまた、鍛冶屋である。

鍛冶屋で働いているショートヘルム・ファルスタッフは、キャラクターに明るく挨拶し、養子の息子を紹介する。グリッグルのアダマンティン棒について話すと、彼の目が光り、すぐに仕事にとりかかる。このシリーズの2回目の遭遇でグリッグルが報酬として配ったアダマンティンの延べ棒をキャラクターたちがまだ持っていれば、吹雪の中で息子がイエティを撃退するのを助けた報酬として、彼はそれを喜んで武器や防具に加工してくれる。

ショートヘルム家全員が協力して一日を通して働き、これらのアダマンティンの道具を作る。翌朝それらをキャラクターにプレゼントする。ショートヘルム一家は親切でもてなしがよく、町に滞在するキャラクターはこれまでの冒険や今後の計画などを聞かれる。

アルヴァンはパーティに対して、アイスウィンド・デイルの奇妙な噂を聞いたと忠告する。不気味なオーロラに関する噂や、永遠の夜が土地を覆っているという噂だ。 ファルスタッフは噂は単なる作り話であり、人々がアイスウィンド・デイルについて有る事無い事を言っているだけだと考えているが、アルヴァンはこれらの話にはある程度の真実が含まれていると考えており、キャラクターたちに身を守るよう警告する。