パート8:ジャーラックスル逆戻り

第5の配達

この冒険では、キャラクターたちが配達を終えて、テン・タウンズの近くにあるケルヴィンの石塚から降りたところで、受取人のもう1人を山の上で発見する!ケア・コニグの町では、毛皮に包まれたドラウが町を通っていったという噂が広まっている。酒場で毛皮を脱いだ際、クリスタル・シャードの話を聞いたことのある人々は彼こそがジャーラックスル・ベインレだと見破った。

ジャーラックスル・ベインレは、フェイルーン中でその名を囁かれる無類の悪漢だ。『ウォーターディープ: ドラゴン金貨を追え』には以下のように記されている。

[A]ドラウの活劇剣士にして、船の都ラスカンの秘密の君主。[…]ジャーラックスルは敵を倒すことに喜びを感じ、冒険者たちが自分の問題に干渉して問題が複雑化するのを楽しみ、そして最後に自分が敵を倒したときの彼らの顔を見るのが大好きだ。しかし、彼は自分を脅すような愚か者は許さない。暴力的な対立が発生すると、彼はその模範を示すために誰かを迅速かつ残忍に殺害し、それから立ち去る。

しかし、今回の冒険でキャラクターたちが出会うジャーラックスルは、陰鬱で理路整然としたドラウだ。彼のいつもの軽薄な態度は、アイスウィンド・デイルの極寒と彼の心配によって鈍くなっている。北方にいるブレイガン・デアースの調査員は、この氷の国で起きている超自然的な危険を彼に知らせた。彼はそれが1世紀以上前にライバルのドリッズト・ドゥアーデンが戦った伝説のクリスタルシャード、クレンシニボンの力ではないかと恐れている。彼は心配を和らげるためケルヴィンの石塚を訪れ、クリスタル・シャードが北方に広がる”暗闇”の力の源ではないものの、その不浄なる魔法が依然として暗く神秘的な形で残っていることを知った。ジャーラックスルは知らぬことだが、クリスタル・シャードの残存する力はチャーダリンとして顕現している。この神秘的で強力な物質は「アイスウィンド・デイル:凍てつく乙女の詩」にさらに記述されている。

ケルヴィンの石塚への帰還

キャラクターたちは、前回の遭遇の終わりにケルヴィンの石塚から帰ってきたばかりだ。時間帯によってキャラクターたちは地元の宿(ノーテン・ライトという小型施設)で夜を過ごすかもしれないし、日が出てるうちにブリン・シャンダーに戻るかもしれない。

彼らが夜を過ごす場合、このシーンは次の朝、ノーテン・ライトのタップルームで発生する。もし彼らがすぐに町を出発したなら、このシーンはケア・コニグの門で発生する。次の内容を読むこと。

筋骨隆々のノースランダーの戦士たちがひそひそと話をしている。横を通り過ぎる際、そのうちの一人の声が聞こえてくる。「あのおかしな帽子をかぶったドラウ・・・奴は何か盗っていったんじゃないか?」

ノースランダーたちは、ジャーラックスル・ベインレについて話をしている。彼は昨夜ノーテン・ライトに宿泊し、今朝ケルヴィンの石塚の頂上に向けて出発した。

盗聴しようとするキャラクターは、DC13【敏捷力】〈隠密〉判定とDC13【判断力】〈知覚〉判定に成功しなければならない。この【敏捷力】〈隠密〉判定は失敗したとしても盗聴を試みることはできる。しかし、盗聴場所が遠くなってしまうため【判断力】〈知覚〉判定は不利となる。ノースランダーと直接会話するなら、DC13【魅力】〈威圧〉または〈説得〉判定を行い、成功すれば盗聴したのと同じ情報を得る。

会話を盗み聞きしたり、ノースランダーと話したりすることで、以下の情報を獲得できる:

もしキャラクターたちがこの冒険のプロットに従おうとしなかったとしても心配する必要はない。その場合はキャラクターたちが把握している配達、レゲド氷河でのヴァニファーへの配達をさせるとよい。この配達については、次回の遭遇で説明する。もしくは、ジャーラックスルの居場所をもっと直接的に伝える方法をとってもよいだろう。例えば、ラスカンで受け取ったセンディング・ストーンを通じてフェルレクトから連絡があり、ジャーラックスルが何らかの理由でケルヴィンの石塚の頂上に向かった、という情報を明かすのは良い方法だ。

ケルヴィンの石塚(再)登山

ケルヴィンの石塚は岩だらけで危険だが、頂上まではわずか1000フィートしかなく、大きな丘にすぎない。頂上への道は驚くほど簡単であり、特に、前回の遭遇でキャラクターたちが秘密の地下室に向かう際に通った危険な裏道に比べるとなおさらだ。山頂までの道のりで、困難な遭遇はない。

ケルヴィンの石塚の頂上までに、キャラクターの力を削ぐために遭遇を追加したい場合、「ザナサーの百科全書」の低レベル向け極地遭遇テーブルの使用を検討してもよい

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ジャーラックスル・ベインレとの邂逅

キャラクターたちは雪に覆われたケルヴィンの石塚を折り返し折り返し進み、わずか1,000フィートの高さを5マイルほどかけて登る。頂上に着くと、ジャーラックスルを発見する。シーンを設定するため、次の説明を読む。

山頂からの眺めは素晴らしく、周りにはアイスウィンド・デイルの雪原が広がっている。オーロラが遠くの地平線で揺れている。ケルヴィンの石塚の頂上には分厚い毛皮の山があり、時折動いては周囲の雪にシンボルマークを描いている。おそらく、その下に人がいるのだろう。山頂付近の雪に円が描かれており、その中央には毛皮の山がある。

キャラクターたちが近づくと、輪の中央に積もった毛皮の山から、厳しくも軽快な声がする。「輪の線をこするなよ。俺は魔道士じゃない。何かあったら困るんだ。」

そうして、彼はすこし考えて、キャラクターたちにここで何をしているのか、特に彼がジャーラックスルかと聞かれた場合には聞き返す。彼らが自身をラスカン・デリバーズだと説明すると、ジャーラックスルは立ちあがって彼らを見渡し、自身が立派な身なり(防寒のために12枚の毛皮を着ている)の男性のドラウであることを明らかにする。

ジャーラックスルはラスカン出身のキャラクターに好意的で、フェルレクトが彼に送ったセンディング・ストーンを快く受け取る。アイスウィンド・デイルに姿を消したジャーラックスルを追跡するためにデリバーズを派遣したフェルレクトに優しさを感じ、世界の果てまでやってきてジャーラックスルを発見したキャラクターたちを粘り強い力の持ち主だと考える。彼はそんなキャラクターたちに好印象をもち、ここにいる理由を説明してくれる。

戦闘との遭遇:〜凍てつく乙女のビジョン〜

この遭遇は3Lvキャラクターのパーティに適している。

もしキャラクターたちがジャーラックスルと一緒にこのビジョンを見ようという彼の申し出を断ると、彼は快くうなずき、小包を届けてくれたお礼として20gpを支払う(【魅力】〈ペテン〉判定のボーナスが+14あるので、彼が失望したことに誰も気づかない可能性が高いだろう)。もしキャラクターたちがその申し出を受け入れるなら、ジャーラックスルは彼らを輪に招き、そばに立つように言う。彼が最後の印を描くと、輪全体が雪を撒き散らして爆発する。

この雪の雨は、キャラクターを取り囲む猛吹雪へと変わる。半径60フィート以内のものはすべて軽度の隠蔽となり、この半径を超えると、侵入不可能なみぞれの壁によって完全に隠される。

次の文を読むか言い換えること:

周囲に雪が舞い、世界を覆い隠していく。奇妙な音楽があたりに鳴り響く。それは妖しく、遠く離れた世界のような調べで、周囲のあらゆるところから鳴っているようだ。吹雪の中で模様が形成されていくのが見え始める。雪の薄片が幾何学的なダイヤモンドのカーテンを形態し、君たちの周りを踊りながら上下し、変形していく。

そして、幕が上がる。その世界は静かで暗い。空を照らす太陽はなく、君たちの足元に広がる雪にも輝きはない。閉じ込められたような暗闇の後、空にかすかな光が浮かび上がる。永遠の夜から現れたオーロラが、色とりどりのリボンを描きながら空を駆け抜け、その先端が君たちの足元に降り注ぐ。この虹色の道から一人の人物が降りてくる。その人物は最初は女性に見えた。しかし、近づくにつれてその姿は成長して醜いものになり、やがて君たちの前に、ねじれた角と曲がった二足歩行の体を持つ巨大なシロフクロウが現れた。

幻獣は君たちに向かって叫び、世界は突然、雪の幾何学的なカーテンに逆戻りした。

これは凍てつく乙女オーリルという下級神格のビジョンである。このビジョンの中で、キャラクターたちは彼女が世界を永遠の夜に突入させようとしていることが分かる。ただし、彼女の動機はわからない。この獣のような化身は、彼らの心を引き裂くためビジョンの中に現れた。この化身はアウルベアのデータ・ブロックを使用するが、次の変更点がある。

このオーリルの化身は話すことができず、ただキャラクターに対して唸ったり怒鳴ったりする。オーリルの実際のゲーム・データは「アイスウィンド・デイル:凍てつく乙女の詩」に掲載されている。

今回の遭遇では、ジャーラックスルはキャラクターたちが実力のある戦士かどうかを判断するため、消極的に戦う。彼は複数回攻撃や急所攻撃の特徴、あるいは伝説的アクションを使わない。彼はその実力をうまく隠す。DC 24【判断力】〈看破〉判定を成功させたキャラクターは、彼が遠慮していることを知る。もし彼らがジャーラックスルの伝説的な刃さばきの情報を知っていれば、この判定は有利となる。

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結末

オーリルのヴィジョンの化身が倒されると、それは凍りつき、恐ろしい悲鳴とともに割れて粉々になる。幾何学模様のカーテンが消え、皆は再びケルヴィンの石塚の頂上に姿を現す。もしも支払いがまだであれば、ジャーラックスルはセンディング・ストーンの送料としてキャラクターに20gpを支払う。次の内容を読んだり言い換えたりすること。

ジャーラックスルは苦笑いを浮かべる。

「信じられない!世界を永遠の暗闇に陥れるつもりか。なんて陳腐なんだ。友よ、私は世界の端から端までたくさんの奇妙なものを見てきたが、これはちっとも怖くないな。」

ドラウは、華麗に身を翻し、暖かい毛皮をしっかりと身にまとった。彼は立ち止まって、君たちに振り返り言う。

「だが、もしも私が間違っていて、まずいことになってしまったとき、君たちがまだ残っていたなら・・・私の知っていることをすべて教えよう。」

ジャーラックスルはキャラクターたちに別れを告げ、アイスウィンド・デイル横断の旅を続ける。彼は神の悪意が働いていることを疑っており、幻影には自分で言う以上に恐怖を感じている。彼はアイスウィンド・デイルを旅しながら、フェルレクトやブレイガン・デアースと密接に連絡を取り合い、「アイスウィンド・デイル:凍てつく乙女の詩」で訪れる危機について探っている。「アイスウィンド・デイル:凍てつく乙女の詩」をプレイする際、ジャーラックスル・ベインレや他のブレイガン・デアースのメンバー(フェルレクト・ラフィーンなど)をテン・タウンズやアイスウィンド・デイル周辺で味方や情報提供者として利用できる。