私の弟の番人

今週の遭遇:私の弟の番人

夏祭りが最高に盛り上がっている!

生花の花輪が建物から建物へと張り巡らされ、狭い石畳の通りは観光客でいっぱいだ。空気は湿気が多く、スパイスやお菓子の香りが漂う。子供たちが奇抜な衣装を着て街で遊ぶ中、とある少女が陽気な混乱の中で助けを求めて叫ぶ。

今週の遭遇は「私の弟の番人」と題され、キャラクターたちは見知らぬ人からの奇妙な頼み事を引き受けることになる。

設定

この遭遇は、好きなセッティングの好きな都市に設定できる。ウォーターディープやネヴァーウィンター、君が大好きなレイヴンロフトの領域などは、この短編遭遇に合致する。「Curse of Strahd(未訳)」に掲載されるバロヴィアのヴァラキの町はぴったりだ。

これは、1~3レベルのキャラクター向けにデザインされた、遊び心のある気軽な遭遇だ。

遭遇の要約

チャバという名前の少女が、自分の弟を見つけてほしいと願い出る。彼女いわく、弟は「眠っている」のだという。彼女はキャラクターたちに、廃業したおもちゃ屋に同行するように頼む。そこでは壊れたおもちゃ達が自らの製造者を探して歩きまわっている。チャバの弟とは休眠状態のクレイ・ゴーレムであり、チャバ自身も見た目通りというわけではない。

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遭遇のスタート

街の広場にある製作者地区は、あらゆる種類の職人の店で満たされている。弦楽器職人、陶芸家、小間物職人、帽子職人など、彼らは家族の古い伝統を引き継ぎ、美しい創造物を生活にもたらす。夏祭りでは、彼らはいい天気のためドアを開け、訪問者に商品を見ていくよう誘っている。

しかし、そうした店の一つに、板張りされて、捨てられたものがある。かすれた木の看板はかろうじて「ソフィーのおもちゃ店」と読める。穏やかなそよ風の中で嘆くように揺れるが、広場にいるお祭り騒ぎの人たちは、この過ぎ去った時代の遺物を誰も気に留めない。魔法の手品で子供たちを喜ばせる道化師たちに魅了されているのだ。

受動【判断力】〈知覚〉値が10以上のキャラクターは、助けを求める小さな女の子の声が聞こえる。「お願いします!弟が眠って、起きられないんです!」

この女の子は8歳で、色褪せた赤いドレスを着ており、大きな弓を持っている。彼女の茶色の髪は少しくせ毛で、縮れた髪が三つ編みからほどけている。

難易度15【判断力】〈知覚〉判定に成功すると、彼女が着ているドレスは厚いビロードで作られており、「夏の」服装ではないと感じる。ただ、こんな暑い日にそんな服を着ているにも関わらず、彼女につらそうな様子はない。

キャラクターたちを見つけると、彼女は手を振って手招きし、自分をチャバと紹介する。

「あなた達はとってもスマートね!弟のサシャを起こしてくれる手伝いをしてくれない?ずっと昼寝をしてるの。外に出て、一緒に遊びたい!」

チャバ自身は小さな女の子の姿をしたフレッシュ・ゴーレムである。彼女の傷跡は衣服や髪の下に隠されており、見つけるのは難しいが、難易度16【判断力】〈知覚〉は、チャバが特有のばらばらな歩幅で歩くことに気がつく。彼女はかつて玩具店で開発された多くの作品の1つであり、店から10フィート以上離れないように設計されている。(彼女が職人的な材料ではなく肉で作られているという事実は、あなたが望むなら、その後の遭遇が残酷な物語に発展する可能性を示唆している。)

キャラクターたちが彼女を店から誘い出そうとすると、彼女は混乱して、ドアの近くで弟を待つことを主張する。両親のことを聞かれると、チャバは母親のソフィーがしばらくいないと言うが、すぐに戻ってくると確信している!

キャラクターたちがチャバの手助けに同意すると、彼女は店のドアを開けて彼らを中に招待するが、唇に指を置く。「他の人たちもまだ眠っているの」

キャラクターたちが店に入ったら、次の言葉を読む。

かび臭い職人の店に足を踏み入れる。太陽光が前の窓から差し込み、空気中の埃の粒子を照らす。前方の部屋の真ん中にある作業台は、錆びた道具と分解されたいくつかのおもちゃでいっぱいだ。他のおもちゃは店の周りに散らばって落ちており、ほこりで覆われている。

店には2つの部屋があり、通りに面した正面の部屋がメインの作業部屋兼、店舗正面であり、奥の部屋が倉庫である。難易度12【知力】〈捜査〉判定に成功すると、職人道具、鋳掛屋道具、木工道具など、いくつかの道具のセットを見つける。作業台には小さな木の狼と、制作中の少女、雀、蛇の彫刻がある。作業台の横にある小さなクローゼットには、掃除用品、エプロン、スクラップ、そしてクローゼットから飛び出してキャラクターたちに不意打ちのブルーム・オヴ・アニメイテッド・アタック( Curse of Strahdに掲載 )が入っている。

受動【判断力】〈知覚〉値が15以上のキャラクターは、攻撃される直前に、クローゼットの中で箒がガタガタと音を立てているのが聞こえ、不意打ち状態にならない。戦闘中、チャバは叫びおののく。

ほうきの音に注意を引かれて、1ラウンドの戦闘の後、モドロンのトリドロンが後の部屋から現れる。まずキャラクターたちを見て、次にチャバを見る。モドロンはチャバにモドロン語で語り、チャバは同じ言語で答える。モドロン語を知っているキャラクターは、内容を理解できる。

「ここには誰も連れてこないでください!」とトリドロンは言う。「ソフィーが戻ってきたらどうするのですか?」

「問題ないわ!」チャバが答える。「彼らはいい人たちよ。サシャを起こす手伝いに来たの!」

トリドロンは機械的に「彼らを静かにさせておきなさい。そうしないと他のものたちも起こしてしまいます。」と言う。

モドロン語を理解していないキャラクターは、二人が奇妙なカチカチ音と様々な表情で意思疎通しているのを見る。

チャバは奥の部屋に進み、キャラクターたちについてくるよう頼む。この部屋は小さいですが、おもちゃ職人の作品でいっぱいである。そのほとんどはドールやパペット、モドロンであり、それらは動かない。後ろの壁に粘土でできた大きな怪物がもたれている。難易度13【知力】〈歴史〉判定に成功したキャラクターは、それがクレイ・ゴーレムだとわかる。シャバはゴーレムに近づき、その腕をつつく。彼女の指のくぼみが残る。

「サシャ!お客さんよ!」と眉をひそめる。「ほら?目が覚めないでしょ!」

キャラクターたちは詳しい情報を尋ねることができる。チャバは信頼できない情報源であるが、できる限りの知っていることを伝える。

ウルフィーの発見

ウルフィーはサシャの命令用具であり、その所有者は簡単な音声要素の命令でサシャを制御することができる。キャラクターたちは、お店を探索してチャバがおもちゃを見つける手助けができる。サシャがウルフィを落として足を壊してしまい、母のソフィーがそれを修理していたことを、チャバは覚えている。難易度15【知力】〈捜査〉を成功させるキャラクターは、作業台の正面、山のようなおがくずの下にウルフィを見つける。ウルフィの足は無傷である。

ウルフィがサシャの10フィート以内に連れてこられると、ゴーレムは目を覚ます。ヒューマンのそっくりの見た目に設計されたチャバとは異なり、サシャは古典的なクレイ・ゴーレムであり、大きな人造である。彼が立ち上がると、その頭はおもちゃ屋の天井をかすめる。

チャバは喜ぶ。「サシャ!起きた!手品を見に行こう!」

彼女はキャラクターたちにウルフィを渡してほしいと頼む。キャラクターが渡してくれなければ、彼女はとても悲しむ。「でも、それは弟のお気に入りなの。ソフィーが弟のために作ったの!」彼女は少し迷った後、ポケットから別のフェルト人形を取り出して言う。「これをあなたにあげるから。」

DC14の【判断力】〈知覚〉判定に成功するキャラクターは、フェルト人形とチャバの間に似通った点が多々あることに気づく。フェルト人形はチャバの魔法動力の源であり、誰かの手にそれがわたると、彼女は突然苦しそうにうめき、「休眠状態」になる。なぜなら、彼女は自分自身に対するコントロールを放棄したからである。人形を元に戻すと目が覚めるが、彼女はデフォルトの状態に「リセット」され、キャラクターたちを覚えておらず、自己紹介をし直す。

キャラクターたちがウルフィーをチャバかサシャのどちらかに渡すと、チャバは彼女の「弟」を入り口の部屋に導き、姉弟一緒に店の窓からお祭を眺める。

ゴーレムの知識を持っているキャラクターは、この2体のクリーチャーに困惑したり、心配したりするかもしれない。かれらを創ったのは誰なのか。またどんな目的で創ったのか。彼らは危険なのではないか?しかし、チャバとサシャは、これらの質問にはあまり関心がなく、街の広場でパフォーマンスをする道化師たちに夢中になっている。他の子供達のように楽しむわけにはいかないようだが。

結末

もしキャラクターたちがサシャを起こすことに成功したなら、チャバは彼女の弟と一緒になれたことに喜ぶ。彼女はキャラクターたちに、好きなときにまた来てほしいと声をかける。そして、もしチャバの母親であるソフィーを見かけた際は、「帰ってきて、って伝えてほしいの。」と言付けする。