爬虫類神の呪い

img

戦闘遭遇:爬虫類神の呪い

この戦闘遭遇は、4人の9Lvのキャラクタのパーティーのための情け容赦ない遭遇だ。同様に、この戦闘は10Lvパーティにとっては挑戦的だが典型的な遭遇として、11Lvキャラクターにとっては単なる障害として役立つだろう。

残酷で計算高きモンスターが隠れ潜むその寺院は、荒野のどこかに隠されている。

カルト教団は寺院の周りに集まり、神秘的な主人を全能の爬虫類神として崇拝している。彼女は神ではないが、隠された寺院の主人は昔からこう呼ばれている―――エクスピリクティカ・デフィルス。底知れぬ残酷さと憎しみをもつスピリットナーガであり、かつては旧神として崇拝されていたものの、そのカルトは冒険者のグループによって壊滅した。だが、エクスピリクティカ・デフィルスほどの強力なナーガは単なる冒険者によって殺されることはない。カルトは粉砕されたが、彼女の精神はほんの数日で生まれ変わり、そして彼女はその邪なる仕事を新たに始めた。

彼女は邪悪な人々を彼女のほうに惹きつけたが、やがて再び壊滅した。そして何度も何度も、何度でも、ナーガの仕事は定命のものたちによってひっくり返され続けてきた。永遠の生命をもつエクスピリクティカは、あらゆる定命のものへの憎しみに満ちており、新たにリザードフォークと、「優れた、鱗の種族」になりたい人間のカルトを作り上げた。彼女は再び爬虫類神として崇拝され、リザードフォークの一員となることで、不死のちからを授けると信者たちに吹き込んだ。信者の助けを借りて、ナーガはレルム中のすべての水路を毒するための毒薬を醸造した。この妙薬を飲んだすべての人は鱗の呪いにかかり、リザードフォークになってしまうのだ。これを作った愚か者たちも自ら薬を口にし、変化した。

遭遇の概要

その主人の力を知ってか知らずか、キャラクターたちは爬虫類神の聖域に足を踏み入れる。聖域は薄暗く照らされ、エクスピリクティカの信者たちの叫ぶような詠唱で満たされている。キャラクターたちはその場所を危険で邪悪な場所として即座に認識するだろう。カルトたちのリズミカルな詠唱の旋律が漂う中、爬虫類神みずからの絹のような声はすぐに冒険者の耳の中に届く。彼女は、一行に力と、富、そして家族を約束し、その代償として肉体と、意志、人生、そしてリザードフォークに加わることを求める。

キャラクターが拒むことを彼女は予期している。カルトたちが攻撃を行い、彼女は遠くから呪文を投げかける。

爬虫類神の聖域

map

この部屋には以下の特徴がある。

呪われたプール。赤い液体の溜まったプールはエクスピリクティカの後ろから彼女のバルコニーの周りのプールに流れ込み、そして中央のプールに流れ込む。この液体を飲んだり浸ったりしたクリーチャーは、DC 17【耐久】のセーヴを行い、失敗すると1分の間、毒状態となる。自身の各ターンの終わりにこのセーヴを繰り返すことができ、成功時に効果を終了させる。一分間ずっと毒状態となった場合、対象は鱗の呪いに冒され、24時間意識不明になり、その間にリザードフォークに変化してしまう。リムーヴ・カース呪文は変身が終わる前ならば呪いを解くことができるが、変身してしまったのを戻すにはウィッシュが必要となる。

高さ。エクスピリクティカのバルコニーは、部屋の床から40フィートの高さである。部屋の西にある高台は、部屋の床から30フィートの高さである。聖域の南半分は北半分の床よりも10ftだけ高くなっている。

天井。聖域の天井は100フィートの高さである。この部屋の8本の柱はすべて床から天井まで届き、らせん状の蛇の意匠で覆われている。

クリーチャー。聖域には以下のクリーチャーが住んでいる:スピリット・ナーガであるエクスピリクティカ・デフィルスは部屋の北端のバルコニーでくつろいでいる。4人のリザードフォークの狂信者がいる。2人はエクスピリクティカの両側に立っており、2人は最北端の2本の柱の後ろに隠れている。4匹のリザードフォークの暴漢が中央の4本の柱の後ろに隠れている。裏切り者のカルト団員が囚われ、中央プールに投げ込まれた結果、哀れなスケルトンであるボーン・ナーガへと変化した。それは今プール内に潜んでおり、エクスピリクティカの思うがままに動く。

どら。爬虫類の意匠で覆われた巨大な真鍮製のどらが部屋の西にある高い足場の上に立っている。1日に1回、クリーチャーがどらを鳴らすと、そのクリーチャーはどらの音を聞くことができる120フィート以内のすべての爬虫類の動物に対してアニマル・フレンドシップを唱える(セーブDC16)。

光源。聖域は大部分が真っ暗であるが、部屋の南端にある小さな石炭の炎が半径10フィートの明るい光と、さらに10フィートの薄暗い光を照らしている。人間のカルト員が現れると、青緑色の魔法の光が壁に沿って浮かびあがる。エクスピリクティカ・デフィルスはボーナスアクションとしてライトをオンまたはオフにすることができる。彼女は冒険者が自分の神殿に入ったことがわかると、すぐに彼らに飛びかかる。

スケール。この地図は1マス10フィートの正方形を使用している。

財宝。エクスピリクティカは、宝の山の上でとぐろを巻いて座っている。そこには略奪品や、捧げ物や集めた税が集まっている。この宝物はCR9の宝の山に等しい。

遭遇の始まり

キャラクターが南の通路から聖域に入るとき、以下を読むか言い換える:

石の通路を歩いていくと、リズミカルな叫び声が徐々に大きくなり、影のうごめく広いホールが君たちの前に現れる。すると叫びが止まり、部屋に不気味に静けさが広がる。水が泡立つ音や、燃えるような音、そして目に見えない数十の呼吸のみが聞こえる。

君たちの前に燃える石炭で満たされた火鉢が置かれている。さらに先に進むと、その光が真っ赤な液体の入った広大な水盆を照らし出す。それは巨大な石の蛇の頭から流れ出ているようだ。そのとき、声が沈黙を破る。

「定命の群れが、我が聖域に入り込んだのか。我が忠実なるしもべたちよ、何を言ってやるとしようか?」

その声は、合唱によって答えられる。

「恐れることはない。お前たちは神と話をしているのだ。鱗あるもの、ぬめる者たちの神だ。我は何年にもわたって多くの定命を我が懐へと迎え入れた。彼らは喜んでその肉体と命を削り、そうして我が不滅なる、鱗の信徒となったのだ。我が信徒は強い。彼らに恐れはない。感情や心情のような、定命の者たちが持つ弱さは、もはや彼らを妨げぬ。我はこの祝福を世界中の定命に与えるつもりだ。お前たちも今すぐそれを飲み干し、自らの意思で忠誠を誓うか?さもなくば、無理矢理にでも飲ませてしまい、苦痛のうちに我が祝福を見いだしてもよいかな?」

エクスピリクティカ・デフィルスは、会話や交渉、物々交換を求める冒険者をからかうのが楽しい。彼女は頑なにゆずらず、この定命の訪問者たちと望むだけ無駄話をしてくれる。彼女は簡潔で自分勝手な答えで答え、キャラクターが攻撃してくることを十分に期待している。彼女はにキャラクターがプールを飲むためにその端まで進むことを許可するが、それを越えて来た場合は、警告を鳴らす。「近づいてはならぬ!もう一歩踏み出したならば、滅ぼしてやろう。」

キャラクターがこの警告を聞かない場合、エクスピリクティカとそのカルトは攻撃する。

戦術

エクスピリクティカ・デフィルスは敵を分断して一人ずつ倒すことを目指している。カルトは彼女の命令に精力的に従う。彼女は敵がバルコニーに到達するのを防ぐためにカルトを鉄砲玉として使う。

戦闘の最初のターンでは、真ん中の4本の柱の後ろに隠れている暴漢が遮蔽から飛び降りてキャラクターを攻撃し、猛烈な鬨の声を上げる。エクスピリクティカのわきに立つ二人のカルト狂信者はホールド・パースンを唱え、地上の二人は麻痺したターゲットを狙ってスピリチュアル・ウェポンとセイクリッド・フレイムを使用する。エクスピリクティカは、狂信者のホールドパーソンの呪文に影響されていないキャラクターにドミネイト・パースンを使用し、彼らに同士討ちを、特に魔法使いを狙って攻撃を行わせる。

その後のターンでは、可能であればバルコニーの二人のカルト狂信者はコマンドのような呪文を使ってキャラクターの接近を防ぐ。彼らが首尾よくホールドパースンを成功させたなら、彼らはエクスピリクティカの後ろに隠れて集中が破られるのを防ぐ。地上にいる暴漢や狂信者は、攻撃や呪文を駆使してキャラクターにダメージを与える。彼らはエクスピリクティカによって支配されている対象に対してはダメージを与えることを避ける。

エクスピリクティカが敵を支配したら、彼女は遠くから彼女の敵にダメージを与えるためにライトニング・ボルトを使うことを好む。少なくとも半数のカルト教徒が敗北した場合、彼女は中央プールに潜んでいるボーン・ナーガを呼び出し、彼女を守らせる。ボーンナーガはスピリットナーガの意のままに呪文を唱え、狙っている敵に対してホールド・パースンやライトニング・ボルトを唱える。敵が彼女に近づくならば、彼女はディメンジョン・ドアを使って聖域の南の入り口に移動して逃げる。

爬虫類神の陥落

エクスピリクティカが敗北した場合、彼女は自らが真に敗北することは決してないと叫ぶ。彼女のカルト主義者と彼女のボーン・ナーガは復讐のため死ぬまで戦う。エクスピリクティカは正しい。若返りの力のおかげで彼女は1d6日で命が蘇る。彼女を妨害したキャラクターたちに復讐をするため、彼女は全力を費やすだろう。

妙薬を台無しにしろ

エクスピリクティカはふたたび戻ってくるかもしれない。だがキャラクターは鱗の呪いの拡散する何年にも渡るカルトの計画を台無しにすることができる。DC 17の【知力】〈魔法学〉または〈宗教〉判定に成功したキャラクターは、グレーターレストレーションを唱えることで妙薬を1d10日の間、一時的に効果を無毒化することができることがわかる。ただし、永遠に無力化できるのはエクスピリクティカと同じようなもの――ガーディアン・ナーガ――のみだということもわかる。そのようなクリーチャーを見つけることは、キャラクターを新たなる冒険へと誘うことになるだろう。

カルトの帰還

明らかに、エクスピリクティカのカルト団員は8人よりもたくさん存在する。他の人たちはその地域の村に潜み、ひそかにその神のことばを広めたり、他の人たちに呪いの妙薬の小さな瓶を飲ませたりしている。エクスピリクティカが活性化しても妙薬が無毒化されていない場合、彼女は聖域に戻って直ちに呪いを広めるようにカルトに命じる。妙薬が破壊された場合、彼女はカルト団員にキャラクターを追い詰めて彼らを聖域に連れてくるよう命じる。彼女の復讐の結果は君が決めると良い。

遭遇の調整

この戦闘を独立した遭遇とする場合、プレイヤーがオープンワールドな冒険RPGでダンジョンに出会うかのように、荒野を探検中に単にカルトの基地に遭遇したとすればよい。 また代案として、この遭遇をダンジョンに入れて、中ボスとの戦いとすることも、物語を調整してダンジョンやその階層の大ボスの戦いとすることもできる。エクスピリクティカ・デフィルスは「爬虫類神」としてカルトに崇拝されており、この遭遇を取り上げるダンジョンではリザードフォーク、ビーヒア、ジャイアント・リザード、フローゲモス、メデューサ、ワイバーンなどが生息している。ユアンティは爬虫類ではあるものの、エクスピリクティカのようなナーガとは敵対関係にある。彼女はユアンティを奴隷として、または恨みを抱く同盟関係をもつかもしれないが、互いが決して向き合うことはない。

しかし、この遭遇をより長い冒険やキャンペーンに合わせて調整することもできる。この戦闘遭遇は【魂を食らう墓】のマップから抜粋されたアリーナで行われる。この遭遇は件のアドベンチャーとは無関係だが、ちょっとした修正を加えれば、この冒険の最高の戦いとすることもできるだろう。あなたは死の呪いを鱗の呪術病に置き換え、9神の墓を冒険から取り除いてもよいし、この墓所をオプションの「キャンペーン後」の内容にすることにしてもよい。こうすることでエクスピリクティカ・デフィルスを冒険の主なる悪役として位置づけ、そして冒険の焦点をオムーの街に到達してエクスピリクティカを倒すことに当てることができる。