シャークフィン号の難破

技能チャレンジ遭遇:シャークフィン号の難破

この技能チャレンジは1レベルのキャラクターに最も適しているが、より高レベルのパーティ用にスケールアップすることもできる。

数マイルの海を渡る簡単な航海のはずだった。この時期、通常ならば海の風は優しく、水面は穏やかだ。だが、真の船員は最悪の事態に備えることなく港を離れることはない。キャラクターはある港から別の港へ航海している。そこはソルトマーシュの町か、あるいは君自身のキャンペーンで使用する港町にするとよい。旅のため、彼らはシャークフィン号という名前の商船に乗ることになった。この有名な二重マストのカラヴェル船は小規模な航海を行い、港から港へと海岸沿いに貨物を運んでいる。

シャークフィン号のキャプテンはグレンダナ・ストームブレイカーという、混沌にして中立の女性ハーフオークの海賊船長だ。傷のある顔をしており、その白髪混ざりの赤毛のたてがみの下にはバンダナが巻かれている。彼女のことを美人と呼ぶ人はほとんどいないが、グレンダナは自らの美しさなど気にしていない。だがしかし、彼女は力強く、権威のある魅力を持っている。彼女は無数の海戦のベテランであり、そして彼女は乗組員の信頼を勝ち取っている。グレンダナの最初の仲間は筋肉質で、波の入れ墨がされたベテランだ。 彼の名はレックハム・バイン、中立にして善のノームのごろつきだ。

青空が順調な航行を約束したにもかかわらず、未知なる力がこの航海を悪いものにしてしまった。ウンバーリーがこの航海に眉をひそめたのかもしれない。暗黒の、より原始的な力がこの海域に影響を与えたのかもしれない。シャークフィン号は勇敢な船ではあるが、単なる貿易船だ。習熟した船員に幸運が微笑みかけるならば、運命から気まぐれな船を救うことができる。しかしほとんどの船は凶悪な嵐の中でばらばらになる運命だ。

この遭遇は、キャラクターがすでに乗船していることを前提とする。あなたのパーティーがまだ船を手配していないなら、乗船させ、海に向かわせる。君はこの冒険へのプレリュードを作る必要があるかもしれない。代案として、キャラクターが船員の叫びによって目覚めさせられ、船の甲板に呼ばれることで、あなたはいきなり遭遇を始めることができる。

遭遇の概要

外洋を航海している間、キャラクターの船はひどく激しい嵐につかまってしまう。

彼らは2つの技能チャレンジを試みなければならない。1つは接近している嵐に準備すること、もう1つは嵐自体に対するものだ。2つ目のチャレンジに失敗すれば、彼らの船はサンゴ礁にぶつけられ、皆は意識不明となってしまうだろう。パーティー全体が目覚めると、嵐は過ぎ去っている。しかし、サンゴ礁にはサフアグンの死体漁りが集まっている。弱体化した状態で、彼らは戦うか、もしくはサフアグンから逃げ、奇跡的に壊れていない救命ボートの1つに到達しなければならない。

遭遇の始まり

夜遅く、20時間の航海のうち約18時間ほどが経った。キャラクターはシャークフィン号の客室で休んでいる。嵐が吹き始め、船長は乗組員たちに警告する。船員がキャラクターを起こすために階下に来る。以下を読むか言い換えること。

船長グレンダナが言うには夜明けまでに港につくだろうとのことだったので、君たちはシャークフィン号のデッキ下の客室で休むことにした。君たちは夕暮れ時に部屋に戻り、穏やかな海の優しげな揺れとともに、眠りにつくことができた。だが、眠りは一瞬だった。君たちはドアを必死にたたく音によって目がさめた。

パーティーにエルフがいる場合、彼らは起きていることに注意すること。彼らは4時間のトランスを終え、今や小説を読んだり、日記を書いたり、あるいは時間を過ごしている。次に、以下を読み続けるか、言い換えること。

太い赤毛の髪をたくわえた筋肉質で入れ墨のあるノームがドアを開けた。―――彼はレックハム・バイン、シャークフィン号の船員だったはずだ。彼はドアを叩いて君たちの目を覚まさせると、こう叫んだ。

「嵐が来るぞ。間違いねえ。お前たちは乗組員ってわけじゃあないが、駆け足で嵐の準備をしなきゃならねえ手伝ってくれ!出なけりゃ全員海の底だ。やってくれるよなあ?」

バインを追って上部デッキに登ると、暗い空と低く轟く音が遠くから聞こえる。遠くに小さな閃光が見え、岩礁だらけの海岸線を映し出す。半ダースの船員があちこちを走りまわり、水はけ用のバケツを準備したり、腰の周りに安全ロープを結んだりしている。キャラクターの大半は乗客であり船員ではないので、バインはシャークフィン号が嵐への準備するために彼らが行えるタスクを提案する。

この表を印刷して資料としてプレーヤーに配布し、プレーヤーが実行したいアクションを決定できるようにすることを検討するとよいだろう。

アクション 説明 使用される能力(習熟)
「当て木を打ちつけろ」 下層デッキへの浸水を防ぐため、キャンバスにハッチを打ち付ける。 【筋力】〈運動〉
「貨物を守れ」 危険な嵐で吹っ飛ぶのを防ぐため、緩んでいる船具や貨物を固定する。 【筋力】〈運動〉
「マストを下げろ」 船を安定させるためにメインマストの上に登り、最も高い帆を下げる。 【敏捷】〈軽業〉
「安全なコースを決めろ」 ナビゲーションツールを使用して、嵐に立ち向かわずに風に乗ることができる方向に船を向けるようにする。 【判断力】〈知覚〉
「ウンバーリーへ祈れ!」 怒りの海の女神、ウンバーリーに祈ることによって、来るべき嵐を和らげるようにする。 【知力】〈宗教〉;集団の祈りを行うために全乗組員を率いる場合、例外的に【魅力】〈宗教〉判定になり得る。
「クルーのやる気を取り戻せ!」 仕事の歌を演奏し、全員に歌わせることで、乗組員の士気を高める。 【魅力】〈芸能〉
「魔法を使え!」 船を守るのを助けることができるキャントリップか呪文を唱える。 あなたの呪文発動能力値+習熟度ボーナス。

技能チャレンジ:当て木を打ちつけろ!

この技能チャレンジでは、キャラクターは上記のサンプルアクションを使用して、または即興でなにかを行うことで、嵐に備えて準備する。この技能チャレンジでは、各キャラクターのターンにはゲーム内で1時間がかかり、各キャラクターは1ターンだけを取ることができる。各ターンにおいて、キャラクターは自分の判定がいかにして船の生存率を合理的に向上させることができるかを説明することができる限り、任意の能力値および技能を用いて判定を行うことができる。

キャラクターは自分の能力値判定で10以上をロールすることで成功し、1つの成功を獲得する。判定が10を超える5ポイントごとに追加の成功を獲得する。(例えば、21のロールはキャラクターは3の成功を得る。)パーティーが合計で成功した回数に注意すること。技能判定に失敗してもすぐには影響はないが、成功するたびに次の技能チャレンジ(嵐を乗り切ること)が楽になるため、キャラクターはこの技能チャレンジでできるだけ多くの成功を獲得したいと思うことだろう。

技能チャレンジが始まったときに目覚めていたキャラクター、例えばエルフやウォーフォージドのように眠らなくてもいいキャラクターは、すぐに行動に移すことができるため、このチャレンジでの能力判定に有利を得る。船員の背景(海軍の場合は兵士の背景でもよい)を持つキャラクターもこの判定に有利を得る。

技能チャレンジ:嵐

ひどい嵐で雲は暗く、上空では雷が雲を裂く。吠えたける風が帆を引き裂き、雨がむき出しの肌へ叩きつける。準備する時間は終わりだ。嵐が来た。

準備の時間が終わると、キャプテン・グレンダナストームブレーカーとして知られている広い肩と傷ついた顔のハーフオークは彼らに向かって歩み寄り、そしてキャラクターを簡潔に迎える。前回の技能チャレンジで少なくとも5回の成功を収めた場合、彼女はまた彼らに感謝の気持ちを伝える。

「大変感謝している。お前たちがかつて水夫だったかどうかは知らないが、その素早い仕事が私たちの命を救うことになるかもしれない。そしてお前たち自身の命もな。覚悟はいいか。嵐が来る」

彼女がそれを言い終えた直後、嵐が直撃する。波は船首にすさまじい力で衝突し、甲板に立っていた者たちは転倒してしまう。さあ、キャラクターは船を浮かばせ続け、そしてもちろん嵐の中を航海するのに十分な時間を稼がねばならない。

この技能チャレンジを成功させるためには、キャラクターは3回失敗する前に3回の能力判定を成功させなければならない。各キャラクターは望む技能やツールの習熟と対応する能力値で判定を行えるが、同じ能力値または習熟を2回続けて使用することはできない。この能力判定のDCは19から始まるが、前のチャレンジでパーティが獲得した成功ごとに1つ減少する。さらに、2ラウンド目以降の各ターンの開始時に、嵐の強度が増すことでDCが1増加する。

プレイヤーが動けなくなった、またはこの技能チャレンジ中に取るべき良い行動を考えることができない場合、あなたは行動のいくつかの方針を提案し、良い能力値と習熟の組み合わせを考えてあげるといいだろう。【筋力】〈運動〉の判定をしてキャラクターは水を掻き出すことができる。【判断】〈生存〉または【知力】〈自然〉判定を行うキャラクターは、嵐の中をどのように進むかなどについて舵手に助言を与えることができる。

高レベル:キャラクターが最低5レベルである場合、この技能チャレンジの開始DCは24となる。キャラクターが11レベル以上の場合、開始DCは29となる。キャラクターが17レベル以上の場合、開始DCは34となる。さらに、キャラクターが11レベル以上であれば、この技能のチャレンジ中に[冷気]や[雷]ダメージへの耐性がないクリーチャーはその能力判定において不利になる。最後に、キャラクターが少なくとも17レベルであれば、[冷気]と[雷]の両方に対する耐性を持たないクリーチャーは、この技能チャレンジ中に能力判定を行うのに不利をうける。

成功:ほんの少しの乱れ

キャラクターが3回失敗する前に3回成功すると、シャークフィン号はその強い風によって嵐の中を突き進み、どうにかして安全に港に滑り込むことができる。キャラクターは少々服が濡れた程度の被害で、目的地に着くことができる。キャラクターはそれぞれ2レベルに進むのに十分なXPを獲得できる。

失敗:坐礁

キャラクターが3回成功する前に3回失敗すると、シャークフィン号はぬいぐるみ人形のように海に引きづられ、海岸から2マイルのところにあるサンゴ礁に投げ込まれてしまう。船の底を礁へと引っ張る力は、単に木を引き裂くだけではない。それはまた、激しく船を激しく揺さぶるため、両方のマストが一度にひび割れてデッキに衝突する。それから、引き波が船の左舷側を亀裂させ、船全体を横転させる。次の波は船を巻き込んでそれを100ヤード前方に投げつけ、それをひっくり返して船全体を壊れさせる。

ヒットポイントが6未満のクリーチャーはすべて即座に死亡する。これにはクルー全体が含まれている。ストームブレイカー船長とそのファースト・メイトを含む全てのキャラクターはDC 25の【耐久力】セーヴィング・スローを行い、失敗すると意識を失う。無意識となったクリーチャー(キャラクターたち)は1時間後にサフアグンに囲まれて目覚める。

サフアグンの死体漁り

沿岸で数を増やすサメの歯を持つ襲撃者は、多くの名前があるが、ほとんどの人間はそれらをシーデビル、またはサフアグンと呼ぶ。キャラクターが目覚めると、岩礁の真ん中にあるムール貝に囲まれた岩にぶつかったことで、最大ヒットポイントの半分になっている。約50フィート離れたところに流されたキャラクターの半分の数に等しい数のサフアグンがいる。彼らはキャラクターに気付いていない。キャラクターたちが目を覚ますと、各キャラクターはDC15の【敏捷】〈隠密〉判定を行い、失敗すると死体漁りたちに気づかれる。

これらのサフアグンのそれぞれは、シャークフィン号の残骸から2d10 spを略奪した。この冒険に魔法のアイテムを出す場合、ストームブレイカー船長がトライデント・オヴ・フィッシュ・コマンドのような魔法のアイテムを船倉に隠して密輸していたが、今では1人のサフアグンがそれを使っているものとする。

シャークフィン号の船体の20フィート幅のかたまりは、約60フィート離れた礁に突き刺さっている。キャラクターがそこにたどり着けば、数時間でそれを岸に戻すことができる。この痛ましい事故で得られる宝物は無いものの、彼らは2レベルに進むのに十分なXP、さらにはサフアグンと戦って得る予定だったXPをすべて得る。

高レベル:キャラクターが少なくとも5レベルであれば、サフアグンの男爵サフアグンの女司祭が戦いに参加する。より高いレベルのキャラクターのために戦いをさらに調整する必要はない。これらのサフアグンは、そんなに大群を引き連れてはいない。難破船をかろうじて生き残った後は、キャラクターにこのハゲタカ共と楽しい戦闘をさせてあげよう。