村の襲撃者
ロールプレイングと同じくらい戦術的なゲームプレイは好きだろうか?
この遭遇は、戦略ゲームと同じくらいの奥深さの、戦術的な遭遇をマスタリングする機会を与えてくれるだろう。この遭遇は「Icons of the Realms:Village Raiders」のミニチュアセットを中心にしている。オンラインストアや地元のゲーム店でこの商品を見つけることができるはずだ。これらのミニチュアを手に入れて、遭遇を楽しもう!
英雄たちの故郷の村が襲撃者に襲われる、というシナリオだ!
この冒険は、武器を掲げ、オークとゴブリンからなる集団から自分たちの故郷を守る場面から始まる。途中、死肉をあさろうとチャンスを伺うノールが乱入する。
この村の物語の詳細は意図的に曖昧にされているため、あなたは村を取り巻く自分の物語を自由に考えることが出来る。なぜ侵入者が攻撃するのか? この街はどこにあるのか?
これらの質問に自分で答えることで、あなたのD&Dキャンペーンは、あなたのゲームにどれだけ事前に公開された情報が使われていたとしても、あなた個人の雰囲気を与えることができる。
必要なもの
この遭遇は、「Icons of the Realms Monster Pack:Village Raiders」にあるモンスターミニチュアと対になるように設計されている。この遭遇と他のいくつかの無料リソースを合わせて、「村の襲撃者」は完全な一揃いの冒険を用意できる。追加の無料リソースは次のとおりである。
- バトルマップを描くのに使用できる1インチのグリッド紙と鉛筆。
- プレイヤーのキャラクターたちとNPCを表すトークン。コインやキャンディー、ダイスなどでもOK!
- 「D&Dベーシック・ルール」の写し
- その他のツール
無料の道具を使っても、「戦術遭遇」をプレイするのは容易である。ただし、追加のアクセサリを使用して遭遇をより美しく見せることもできる。また、そうすることでプレイヤーは状況をよりよく理解できるだろう。
- この遭遇で使用されている折り畳まれたポスターマップ(「Tactical Maps Reincarnated」に収録されている)
- プレイヤーキャラクターたちごとのミニチュア(「Icons of the Realms Starter Set」などが便利だ)
- この遭遇の2人の味方NPCを表すためのさらなるミニチュア
遭遇の背景
この戦術遭遇は、2レベルのキャラクター4人のパーティに適している。また、1レベルのキャラクター4人のパーティにも適しているが、そのプレイヤーが熟練したPLであり、D&Dルールに精通している場合に限る。
次の文章を読んだり言い換えたりして、この遭遇の舞台を設定する。
村の端から悲鳴が聞こえる。
小さな田舎町の守護者として、君たちは武器を備え、鎧を着て、素早く呪文を準備して、戦いの支度を整える。数分後、あなたは町の端に到着し、薄汚い山賊があふれているのを見つける!
1体のオークが農家の家のドアを叩き壊しており、オークとゴブリンの一団が市長の畑を暴れ回り、彼の家に侵入しようとしているのが見える。
下の図に示すように、マップとミニチュアを設定すること。マップの端にプレイヤーキャラクターたちを配置したら、彼らが何をしたいかを尋ねること。彼らの選択は、この戦いがどうなるかに影響することになる。
遭遇の始めには、2つの怪物グループが村を攻撃している。
第一グループは農夫の家を攻撃しており、第二グループは市長の家を攻撃している。三番目のグループは、地図の北西にある北側の道に隠れており、戦いがどのように展開するかを見ている。この戦いのすべての出来事を一度にやりくりするのは大変そうに見えるかもしれないが、農夫の家と市長の家での出来事は同時に起こる。それぞれの場所での襲撃者たちは、キャラクターたちが登場するまでの間にも動いている。
戦闘ルール
D&Dをプレイするのが初めての場合、または戦闘のルールに慣れていないプレイヤーがいる場合は、プレイする前にD&Dの戦闘がどのように機能するかを確認すること。戦闘に関するルールは、「D&Dベーシック・ルール」で詳しく説明されている。
簡単に言えば、それぞれのクリーチャーには戦闘ターンがあり、その間に移動し、アクションを行い、ボーナス・アクションを使用する特性があればボーナス・アクションを行うことが出来る。クリーチャーはまた、1回の戦闘ラウンドにつき1つのリアクションを取ることができる。戦闘に参加しているほとんどのクリーチャーは、他のクリーチャーを攻撃するために自らのアクションを使用し、攻撃がヒットするかどうか、またヒットした場合にどの程度のダメージを与えるかを決定するために、そのステータス・ブロック内の数値を使用する。最大ヒットポイントと同じだけのダメージを受けると、モンスターは死ぬ。プレイヤーキャラクターのヒットポイントが0になった場合は、気絶状態になり、死亡セービングスローを開始する。
戦闘に参加したすべてのクリーチャーのターンが終わると、現在のラウンドは終了し、新たなラウンドがイニシアチブ順に始まる。
不意打ちの獲得。キャラクターがモンスターグループの1つにこっそり近づいた場合、不意打ちできる可能性がある。しかし、村は小さい。あるグループのモンスターがキャラクターたちと戦い始めると、他のグループはそれに気づくため、不意打ちとはならない。
イニシアチブを振る。この遭遇が始まると、すべての戦闘参加メンバーはイニシアチブ判定を行う。これは、クリーチャーがまだ互いに戦い始めていなくても行う。戦闘中のすべてのクリーチャーは【敏捷力】判定を行い、イニシアチブ値をもとに自分の順番を決め、その後、各クリーチャーは順番に1つずつターンを進める。
移動。各クリーチャーの移動は、キャラクターシートやステータス・ブロックに記述されている。ほとんどのクリーチャーの移動速度は30フィートで、これはバトルマップでは6つの5フィート正方形に相当する。
農家の家
ここにハリム・ティレロンという名の農夫の家があり、彼の妻グレッサと、彼らのふたりの息子、ひとりの娘が住んでいる。ハリムは、彼の家族に南の窓から逃げるよう涙を流して促した後、家を守るために無駄な試みとわかっていながらも、ドアをふさぎ、家に残りつづける。
この農家には以下の特徴がある。
- AC15と9ヒットポイントをもつ頑丈な木製のドアがある。ドアは[毒]や[精神]のダメージを受けない。ドアが0ヒットポイントに減少すると、破片となって吹き飛ぶ。
- AC13と3ヒットポイントをもつガラス窓がある。ガラス窓は[毒]や[精神]のダメージを受けない。窓のヒットポイントが0になると、粉々になる。小型よりも小さいクリーチャー(ゴブリン語やハーフリングなど)は、開いた窓を通り抜けることが出来る。中型のクリーチャーはこの小さな空間を登って通り抜けるために難易度10【敏捷力】〈軽業〉判定に成功せねばならない。
オーク。オークはちょうど今農家に突撃し、そのグレートアックスでドアを攻撃しようとしている。そのままにすると、ドアが壊れ、中にいる貧しい農民は殺され、家が荒らされる。キャラクターたちが攻撃すると、オークたちはドアを放棄し、戦闘において最も栄光をもたらす敵を攻撃する。すなわち、集団の中でもっとも強そうなキャラクターを狙う。
ゴブリン。ゴブリンが近くの木(地図参照)に隠れてオークのまわりを警戒している。
- ゴブリンは戦闘が始まるまで木の中に隠れ、その後、ショートボウを使って、戦闘の最初のターンで有利を得て攻撃する。キャラクターたちはゴブリンに気づいていなかったからである。
- 次に、器用な脱出の特性を利用して、木の中でボーナス・アクションとして隠れ身を行う。ゴブリンの【敏捷力】〈隠密〉判定の結果に比べて、キャラクターたちの受動【判断力】〈知覚〉が同等か小さければ隠密に成功する。
- 隠れ身状態のゴブリンを攻撃しようとするキャラクターは敵が見えないまま木を攻撃する(不利な攻撃をする)。もしくは、アクションを使用して【判断力】〈知覚〉判定を行い、ゴブリンを発見しようと試みることが出来る。
ハリム・ティレロン。ハリムは中立善の男性ヒューマンの一般人である。彼は椅子を砕いて、その足の1本をクラブとして使用する。彼は強力なオークの略奪者に立ち向かおうと考えているが、それは大きな誤りである。ドアを壊される前にキャラクターたちがオークを攻撃しなければ、ハリムは死ぬ。キャラクターたちが彼を救えば、彼は感謝し、残りのオークを倒す手助けとしてポーション・オヴ・ヒーリングを渡す。
市長の家
ここは村長の屋敷だ。堂々として仰々しいが、それでも心の優しいレックス・グリフィスという男が市長である。彼は高価な椅子の一つでドアにバリケードを作った。
この家には次のような特徴がある。
- 敷地は高さ4フィートの石垣に囲まれている。中型より大きいクリーチャーはそれらを容易に乗り越えることができるが、小型より小さいクリーチャーは石垣を乗り越えるために難易度10【敏捷力】〈軽業〉判定を成功させなければならない。留め金がかかった木のゲートはAC15で4ヒットポイントがある。
- 鉄枠で補強された頑丈な木製の扉が付いている。AC15で16ヒットポイントがある。[毒]や[精神]のダメージを無効化する。ドアが0ヒットポイントに減少すると、破片を散らして吹き飛ぶ。
- AC13でヒットポイント3のガラス窓がある。[毒]や[精神]のダメージは受けない。窓のヒットポイントが0になると、粉々になる。小型よりも小さいクリーチャー(ゴブリン語やハーフリングなど)は、開いた窓を通り抜けることが出来る。中型のクリーチャーはこの小さな空間を登って通り抜けるために難易度10【敏捷力】〈軽業〉判定に成功せねばならない。
- 壁のすぐ外側には、果樹園や根菜、ブドウでいっぱいの畑がある。
- 小さな小屋には動物用の飼料やその他の農業用具が入っている。
- 敷地内の井戸は深さ15フィートで、水が満ちている。
ゴブリン。2人のゴブリンが市長の畑の中を暴れ回り、野菜を引き裂いて、それらから一口齧っては脇に捨てている。彼らはキャラクターたちを見るとすぐに恐怖で鳴き、ショートボウを持ってキャラクターたちを撃ちながら護衛のオークのところへ走る。
オーク。この攻撃のリーダーはカーカズ・クルトというオークである。彼は村長を人質にとり、彼を身代にし、自分たちが満足するだけの十分な肉を毎月奪い取ろうと考えている。
- 彼は最初のターンでグレートアックスを使って市長の屋敷への門を破壊しようとする。失敗すると、塀を飛び越える。
- もし彼が市長のヒットポイントを0に減少させたなら、彼は市長を殺すのではなく気絶させることを選択する。そうして、市長を町の北の丘に運ぶ。
市長のレックス・グリフィス。グリフィス市長は秩序中立の男性ヒューマンの貴族である。彼は自分の家の前のドアにバリケードを築き、それをさらに補強するため自身の全体重で押さえている。彼は家宝のレイピアを手にしており、オークと戦って生き残らねばならない、と考えて震えている。戦いを生き延びた場合、村長はキャラクターたちに寛大に報いる(下記の「結末」参照)。
北の道
地図の北西にある村を通る道は、深い溝となっている。溝の深さは約5フィートであり、草原上のクリーチャーが小道の壁に隠されたクリーチャーを見るのを困難にしている。
ノール。現在、2人のノールが小道に隠れており、端々を見渡し、戦いの展開を眺めている。これらの恐るべきクリーチャーは悪魔を信仰し、血に飢えているが、愚か者ではない。彼らは、一度に2つの敵と戦うのではなく、ハイエナのように疲れた勝者を餌食にしようと考えている。ノールは隠れているが、受動【判断力】〈知覚〉値が11以上のクリーチャーは草むらから彼らに気づくことが出来る。道への視線が直接通っているものは判定無しで気づくことができる。
- オークとゴブリンがすべて死んだり逃げたりすると(あるいはキャラクターたちが逃げると)、ノールが飛び出して武器を構える。そして、次のターンの最初に、略奪の喜びに吠えたける。1頭のノールはスピアを構えて突撃し、もう1つのノールはロングボウを使って小道から射撃する。ロングボウを持つノールは、ターンごとに攻撃した後、小道の壁に潜る。小道によって与えられた1/2遮蔽は、そのACに+2のボーナスを与える。
- ノールはいつも有利が取れる場所を探し、より弱い敵を狙う。近接戦闘をするノールが敵HPを0にすると、大暴れの特性を使用して、まだ意識のある別の敵を攻撃する。ノールたちは意識のなくなった敵の心臓をまだ温かいうちに引きずり出すのが好きで、戦いが終わればそうするだろう。
結末
襲撃者が撃退されると、生き残ったものたちはキャラクターたちを祝福する。ハリムが生き残った場合、彼の家族が周りに集まり、命を救ってくれたキャラクターたちに息を切らして感謝する。彼らはキャラクターたちに10 gpと家宝のシールドを渡す。シールドは美しく機能的な家宝であり、その鋼鉄の表面にはフェニックスの紋章が描かれている。
市長が生き残ると、彼は羽のある帽子を脱ぎ、鼻がつま先に触れるほど深くおじぎする。彼はキャラクターたちに30gpの価値があるラサンダーの黄金の聖印を提供する。
その先の冒険。町長(または別の町人)は戦いの後、キャラクターたちを呼び、略奪者は北の丘にある洞窟から来た可能性が高いと伝える。略奪者の首魁が敗北すれば、この村や近隣の町は、少なくともあと1年は安全となるだろう。クエスト提供者は、狩猟用の罠、ハンマー、そして10個の鉄のスパイクのセットを渡してくれる。これらは野外を探検する際に役に立つ。